2015 Fiscal Year Research-status Report
低温プラズマによるバイオリファイナリー技術創出の試み
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26660280
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 英治 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00649204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス / 再生可能エネルギー / プラズマ / セルロース / リグノセルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、本年度にはセルロース試料として無灰ろ紙を用い、グロー放電プラズマ(窒素雰囲気/100Pa)中での分解挙動を検討した。その結果、50℃程度の低温条件であるにも関わらず、約90時間でセルロースが完全に分解することがわかった。さらに、四重極型質量分析計をプラズマ反応装置に接続し、分解生成物のリアルタイム分析を行った。その結果、ガス状生成物として水、一酸化炭素、二酸化炭素および水素の生成が確認された。これらのうち、特に水素と一酸化炭素は合成ガスの成分でもあり、そのエネルギー利用への可能性が期待される。なお、このプラズマ処理は窒素雰囲気下で行っているものの、プラズマ反応室内の気体成分として僅かながら酸素の存在も確認された。従って、生成した一酸化炭素および二酸化炭素中の酸素原子は、雰囲気由来のものであるのか、セルロース由来のものであるかは現時点では判明しなかった。 さらに、リグノセルロース資源の一つとしてスギのグロー放電プラズマ処理を検討した。その結果、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンのいずれもが無灰ろ紙と同様に分解された。また、これらの細胞壁主要構成成分の分解速度には明確な差は見られなかった。すなわち、化学的構造が異なるにも関わらず、これらは一様に分解されることが判明した。また、ガス状生成物もセルロースと同様、水、一酸化炭素、二酸化炭素および水素であった。 以上のように、グロー放電プラズマ処理によりリグノセルロースが完全に分解できることが判明したため、今後、その分解機構の解明を進め、より効率的な分解条件を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グロー放電プラズマ中において、油脂よりもセルロースの方がより明確な分解を示したことから、セルロースおよびリグノセルロースの検討を重点的に実施している。そのような中、セルロースが低温プラズマ中で完全に分解すること、水素、一酸化炭素を含むガス状物質を生成すること、リグノセルロースもセルロースと同様に分解することなどを明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
セルロースおよびリグノセルロースの分解機構の解明を進め、より効率的に分解を行うための処理条件を検討する。特に、雰囲気を酸素や水に変えた場合の分解挙動の変化を詳細に調べる。また、グロー放電プラズマ処理によるエネルギー投入量等を検討し、プロセスとしてのポテンシャルを評価する。
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Causes of Carryover |
謝金が当初想定よりもやや少なくなったこと等により、4千円強の若干の残額が発生した。次年度の予算が少ないこともあったため、そのまま次年度の消耗品等に回すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析用試薬などの購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)