2014 Fiscal Year Research-status Report
メラノーマはexosomeを介して腫瘍免疫に抵抗するか?
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26660294
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野口 俊助 山口大学, 獣医学部, 准教授 (10701295)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メラノーマ / exosome / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
種々のヒトメラノーマ細胞株よりexosomeを抽出し、ウェスタンブロッティングにより抗腫瘍免疫に関連するタンパクであるPD-L1、CD80およびTGF-βのタンパク発現を検証した。その結果、TGF-βがメラノーマ細胞由来exosomeに豊富に含まれることが明らかとなった。 一方、exosomeの産生に重要なタンパクであるRab27aの発現をmicroRNA (miR)-203がコントロールすることから、miR-203の強制発現によりexosomeの分泌量が減ることが予想された。しかしながら、Nanosightを用いて細胞当たりのexosome分泌量を検証したところ、miR-203の導入による明らかなexosome分泌量の減少は認められなかった。さらに、細胞当たりのexosomeマーカーであるCD9発現量も変化はみられなかった。 以上の結果より、メラノーマにおけるがん抑制miRNAであるmiR-203はexosomeの分泌には関与していないことが考えられた。しかしながら、メラノーマ細胞由来exosomeはTGF-βを含んでいることから、微小環境中でT細胞へと受け渡し細胞障害性T細胞(CTL)の活性の減弱あるいはCD4陽性T細胞の制御性T細胞への誘導を通じて、抗腫瘍免疫を成立させている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説であったmiR-203がexosome分泌量を制御している、という点に関して、予想に反する結果が出たため、予定よりも時間をかけて実験を行ったため若干の遅れが生じた。しかしながら、exosome内にTGF-βが含有されていることが明らかとなり、もう一つの仮説であるメラノーマ細胞がexosomeを介して抗腫瘍免疫を発揮している、ということに関しては検証していく価値が見出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、メラノーマ細胞由来exosomeをヒトの末梢血単核球(PBMC)から分離したT細胞が取り込むかを検証する。具体的には、CD9/GFP発現プラスミドベクターをメラノーマ細胞へ導入し、GFP発現exosomeを作製。GFP発現exosomeをExosome-Human CD9 Isolation Reagentを用いて分離し、PBMCより分離したCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞へ暴露する。そして、蛍光顕微鏡にてT細胞内のGFP陽性反応を検証する。 次に、exosomeがT細胞へ取り込まれた際にT細胞の形質に影響を及ぼすかを検証する。まず、PBMC由来CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞を分離培養する。それらの細胞へメラノーマ細胞由来exosomeを暴露し、CD4陽性T細胞が制御性T細胞へと形質変換するか(Foxp3の発現)、CD8陽性T細胞から作製したCTLの活性を減弱するか(IFN-gammaの発現など)をそれぞれ検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として生じた金額は、CD9/GFP発現用プラスミドベクターおよびCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の分離のために使用する抗体代として予定した分である。当該年度においてヒトPBMCを用いた実験を行うに至らなかったため、次年度使用額として計上した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CD9/GFP発現用プラスミドベクター、T細胞のソーティングに必要な抗体類及び細胞培養液からのexosome分離に使用する試薬類を購入するために使用する予定である。また、その他研究成果の発表および論文投稿料として使用する予定である。
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