2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660296
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 すみれ 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (50532131)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物分子育種 / 多年生 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一年生植物であるシロイヌナズナにおいてある転写因子を強く発現させた際に見られる多年生植物様の形質に主に着目し、解析することで、一年生植物と多年生植物の違いを生み出す未同定の要因を見つけるとともに、分子育種等に役立つ知見を得ることを目的としている。 当該形質転換体を各種条件下で栽培し、形質の解析を実施した。その結果、長日条件22℃で栽培した際に見られていた特徴的な形質が、短日条件22℃ではほとんど見られなくなることを確認した。また、短日条件22℃で観察されたそのような形質は、短日条件低温環境下で栽培した植物の形質と比較して大きな変化が見られなかった。一方で、野生型や当該形質転換体を長日条件下で栽培した際にはほとんど見られない形質が、短日条件下では当該形質転換体のほとんどの個体で観察された。これらの結果から、この形質転換体でみられる各種の形質は、日長条件依存的であることが示された。当該転写因子の機能欠損株やVP16付加過剰発現体が示す形質に関しては、日長条件の違いによる影響が見られなかった。 また、当該転写因子はその機能に必要と考えられるドメインを二つ持っており、スプライシングバリアントにおいてはそのドメインを一つしか持たない。そこでスプライシングによる機能調節の可能性を検討するために、生化学的解析やスプライシングバリアントを過剰発現する形質転換体の解析を実施した。これまでに実施した解析においては、スプライシングの変化による影響は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該形質転換体が示す複数の特徴的形質が、日長条件の変化により明確に変化を示すことを発見することができた。一方で、変異導入に使用する予定の形質転換系統の形質に多少のばらつきが見られ、その系統に追加で変異導入した場合にその後の解析に支障が出る可能性が懸念されたため、後代で安定した形質を示す系統の選抜を追加で実施した。そのため、変異導入およびその後の解析の予定に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
形質の安定した系統を単離するために延期した変異導入およびその後の解析に関しては、十分な種子量が得られ次第順次実施する。 また、当該転写因子が持つ重要とみられる二つのドメインのうち一つがスプライシングの変化により失われるという現象が多年生的形質の付与に関与するかどうかを確認する実験を実施したが、これまでの解析では明確な関与を示す結果を得ていない。この点に関してはより詳細な解析により検証を実施する。
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Causes of Carryover |
変異導入に使用する形質転換体について後代を使用するよう変更し、それに伴い変異導入実験およびその後の解析を平成27年度以降に実施することになったため、物品費に繰り越し金が生じた。また、特許申請の予定を考慮し、平成26年度に予定していた学会発表を控えたため、当該旅費に関しても繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施予定だった実験等に関しては平成27年度に実施予定であるため、その分の予算は平成27年度に使用を予定している。
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