2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
国嶋 崇隆 金沢大学, 薬学系, 教授 (10214975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正典 金沢大学, 薬学系, 准教授 (80453835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルボカチオン / 不斉アルキル化 / 脱離基 |
Outline of Annual Research Achievements |
一分子求核置換反応(SN1反応)は、活性なカルボカチオン中間体の制御が困難なため、合成反応としての実用性に制限がある一方で、カルボカチオン種の高い反応性は不活性分子の化学変換において非常に魅力的である。本研究では報告者らがこれまでに開発してきたカチオン種を活性種とするアルキル化剤に関する知見に基づいて、プロキラル面を有するカルボカチオン種を発生させ、その面制御による不斉アルキル化反応の開発を目的とする。まず、前年度の知見から、プロキラルな2級カチオン種の発生法について、更なる改良を加えた結果、トリアジン骨格の改変を行うことにより、低温下、迅速な発生を可能とする脱離基の構造を明らかにした。従来のSN1型反応においては、求核剤非存在下では生じたカチオン種が脱離基と再び反応し、不活性な化合物に変換されること(つまり形式的な転位反応)が問題となるが、そのような問題の起きない脱離基の開発を検討し、その構造条件を明らかにした。これらの成果について論文および学会発表、並びに特許出願を行った。 一方でカルボカチオンに対して可逆的な配位または結合を形成するルイス塩基性(若しくはドナー性)化合物についても、前年度の検討では不十分であったことから、改めて検討した結果、カルボカチオン種の優れた補足剤の開発に成功した。次に、この補足されたカチオンにアルコールやカルボン酸などの求核剤を導入すると速やかにアルキル化が進行することを確認した。以上より、本研究の達成に必須の再重要課題について全て問題点を解決出来た。この補足剤にはキラリティーを導入することが容易であることから、現在、種々のキラル補助基を導入し最終目的である不斉誘起反応を検討中であり、最終的な成功も大いに期待できる。
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