2015 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質無機化合物の特異なナノ空間を活用する高度制御合成法の開発
Project/Area Number |
26670002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 周司 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60192457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 固体触媒 / 多孔質無機化合物 / ナノ空間 / メソポーラスシリカ / 動的光学分割 / 触媒活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃棄物削減の観点から、種々の無機材料やポリマーに固定化した(Lewis)酸、(Lewis)塩基、金属触媒等の開発が近年、極めて活発に行われている。しかし、その殆どは従来の均一系反応と類似の結果を与え、固定化によって初めて発現する特徴的な反応は少ない。本研究では、多孔質無機化合物メソポーラスシリカ (MPS)がもつ特異なシラノール表面やナノサイズ空間を最大限に活用し、反応加速や立体化学の制御、分子サイズふるいなどの反応制御を行うことを目標とした。平成27年度は以下の成果を得た。 1.通常、固体触媒は有機溶媒に可溶な均一系触媒よりも触媒活性が低い。ところが、我々が作成したMPSの細孔内部にオキソバナジウム種を固定化した固体触媒V-MPSは、対応する均一系のオキソバナジウム触媒よりも光学活性アリルアルコールのラセミ化能が高いことがわかっていた。この理由を種々探索した結果、MPSの細孔内部が極性空間を形成し、ラセミ化過程で生じるイオン性反応中間体の形成を促進し、かつ、同中間体を安定化するためであることが判明した。また、極性の高い基質は細孔内部に集積しやすいことがラセミ化の加速に繋がっていることも分かった。 2.V-MPSとリパーゼの混合触媒系を用いる動的光学分割法を分子サイズの異なる種々のラセミ体アルコールに適用し、高収率、高光学純度の光学活性エステルを与えることが分かった。 3.これらの成果をまとめ、論文発表した。
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