2014 Fiscal Year Research-status Report
ステンレス鋼のメカノケミカル的活性化法を基盤とする無機・有機複合型反応の開拓
Project/Area Number |
26670005
|
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
澤間 善成 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (80552413)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 水素製造 / ボールミル / 水 / アルカン / アンモニア / 還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステンレス鋼は錆びにくい素材として生活の中で汎用されるが、無機あるいは有機反応の触媒として利用された例は無い。SUS304は最も一般的なステンレス素材であり、遊星型ボールミルを用いてメカノケミカル的なSUS304製ボールの衝突エネルギーを利用した様々な新規反応を開発検討した。(1)(重)水の分解による(重)水素ガス発生におけるメカニズム解析を実施した結果、SUS304に主に含有される鉄・クロム・ニッケルの各役割を明らかとし、現在より効率的な水から水素発生法の開発に取り組んでいる。(2)アルカン(飽和炭化水素)の分解による水素・メタンガスの効率的合成法も開発し、アルカンの他エーテルを原料とすることで、より効率よく水素が得られることを見いだした。(3)大気中の窒素ガスの固定化によるアンモニア合成においては、反応に重要なファクターが明らかとなりつつあり、効率的なアンモニア合成法として確立すべく、現在も鋭意検討中である。(4)研究(1)ならびに(2)で確立した水素製造法を元に、SUS304に含まれるニッケルを触媒とした有機化合物への水素ガスの固定化(還元反応)を検討した。アルキン、アルケン、ニトロ、芳香族ハロゲンなど様々な官能基が容易に還元されることを見いだした。更に、エーテルを水素源とした場合には水やアルカンでは適応困難であった芳香核の核還元が進行することが明らかとなった。この反応で得られるシクロヘキサン化合物は、創薬として有用であるのみならず、現在水素貯蔵物質として期待される物質である。そのため、エーテルの水素キャリアとしての新たな可能性を見いだすのみならず、水素キャリアであるシクロヘキサン体の合成法としても有用である。現在、これら全ての研究の更なる効率化を図っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した様に、当初計画していた以上に重要な事が明らかとなりつつある。現在、水素製造における実用化にも取り組んでいるところであり、今後の成果が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画は概ね順調に進行している。 研究実績の概要で示した研究(1),(2)ならびに(4)は既に良好な結果が得られており、現在論文化に向けて調整中である。また(3)については、最近興味深い知見が得られており、効率化を図っている。また、その他として(5)アルキンの[2+2+2]環化によるベンゼン環合成などを計画している。これらに縛られず、社会に貢献できる有用な反応を開発する予定である。
|
-
[Journal Article] Stainless-Steel-Mediated Quantitative Hydrogen Generation from Water under Ball Milling Conditions2015
Author(s)
Yoshinari Sawama, Miki Niikawa, Yuki Yabe, Ryota Goto, Takahiro Kawajiri, Takahisa Marumoto, Tohru Takahashi, Miki Itoh, Yuuichi Kimura, Yasushi Sasai, Yukinori Yamauchi, Shin-ichi Kondo,Masayuki Kuzuya, Yasunari Monguchi, and Hironao Sajiki
-
Journal Title
ASC Sustainable Chemistry Engineering
Volume: 3
Pages: 683-689
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-