2014 Fiscal Year Research-status Report
新規不斉ピンサー型NHC配位子の設計・合成による不斉触媒反応の創出研究
Project/Area Number |
26670007
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中田 雅久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50198131)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機化学 / 不斉触媒反応 / NHC配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
含NHCピンサー型不斉配位子の金属錯体の合成を試みた。NHC配位子前駆体であるイミダゾリウム塩は一般的に、イミダゾールのアルキル化、もしくはジアミンに対して酸触媒存在下オルトギ酸アルキルを作用させることで合成することができる。しかし数多くの検討を行ったが、目的のイミダゾリウム塩を得ることはできなかった。 (S)-2-((1H-Benzo[d]imidazol-1-yl)methyl)-4-isopropyl-4,5-dihydrooxazoleに対してブロモメチルオキサゾリンを作用させた場合には、オキサゾリン環が開環したヒドロキシアミド体1が低収率で得られた。そのため目的のイミダゾリウム塩が不安定であることが推察され、イミダゾリウム塩を経由するルートでは合成困難であることが示唆された。 そこで1からのオキサゾリン環の閉環によって合成を行うこととした。ヒドロキシアミド体1とPBr3を反応させ、ジブロモ体2を合成した。嵩高い塩基を用いた2からオキサゾリンへの変換は失敗に終わったが、MS 4A存在下、2にAg2Oを作用させたところ、環化と錯形成反応が同時に進行し、NHC-Ag(I)錯体3を高収率で得ることに成功した。3は1HNMR,13C NMR,HRMSによって構造が決定され、C2対称性を有する錯体であることがわかった。またDMSO溶媒中3とPtCl2を反応させるとNHC-Pt(II)錯体を得ることができた。 4とCrCl2の反応によりNHC-Cr錯体を極めて安定な深青色の結晶として得た。そのX線構造解析は、Cr原子に対してビスオキサゾリンNHC配位子が3座で配位していることを示しており、また得られた錯体はNHC-Cr(III)錯体であった。これは金属交換によって生じた電子豊富なNHC-Cr(II)錯体がAgBrを還元したものであると推察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度初頭に立案した研究計画は順調に進展しており、2014年度の研究目的はおおむね達成されている。含NHCピンサー型不斉配位子の金属錯体合成に成功し、研究成果の論文化も行った。合成に成功した金属錯体を用いた反応の検討が多少遅れている状況ではあるが、2015年度に国際的ジャーナル誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度初頭に立案した研究計画に沿って研究計画を遂行する。当初の予定通り、含NHCピンサー型不斉配位子の金属錯体の合成をさらに進展させるとともに、それと併行する形で合成した金属錯体を用い不斉触媒反応を検討し、その錯体の触媒活性、有効性を検証する予定である。
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