2014 Fiscal Year Research-status Report
分岐型DNA合成を基盤とするDNAカプセルおよびDNAシートの創製
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26670008
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
今川 洋 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80279116)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工核酸 / 包接 / 蛍光 / 分岐型核酸 / 会合体形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸塩基の持つ相補的な水素結合形成能は,低分子化合物をユニットとする分子会合体の形成に利用可能であると考えられる。私たちは今回、三方向に核酸を配置した分岐型の人工DNAを合成し,その分子会合体形成能の解析を目的に研究を行った。1,3,5-benzenetrimethanolに,4種の核酸(A, T, G, C)をそれぞれホスホロアミダイト法で結合し,保護基を順次除去して目的の4種の分岐型人工DNA三量体を得た。さらに,これらを用いた会合体形成について検討した。インターカレーターの一種である臭化エチジウムを4種の分岐型人工DNA三量体にそれぞれ添加すると,赤色の蛍光が観測された。臭化エチジウムは疎水的環境で蛍光を発することから,何らかの会合体を形成し,臭化エチジウムが水から隔てられた環境に置かれていると考えられた。そこで,その会合体の構造を明らかにすべく,MOEを用いたドッキングシミュレーションを行った。その結果,分岐型の人工DNA三量体は,臭化エチジウムを掴むように包接する事が示唆された。一方,アクリジンオレンジは一本鎖と二本鎖DNAの区別に用いられ,一本鎖の場合は赤色の,二本鎖の場合は緑色の会合体を生成することが知られている。そこで臭化エチジウムに換えて,アクリジンオレンジと分岐型人工DNA三量体との混合を試みた。その結果,GとCを塩基として持つ分岐型人工DNA三量体を1対1で混合し,アクリジンオレンジを加えた場合は赤色に,一方,AとTとアクリジンオレンジを混合した場合は黄色を呈することが分かった。これらの結果から,核酸塩基の違いにより,会合体の構造が異なることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の分岐型人工DNA三量体の合成を完了し,その会合体形成能を確認出来た。また臭化エチジウムをゲスト分子とした場合,分岐型人工DNAがゲスト分子を掴むように包接する特有の機能があることも明らかとなり,その会合定数の決定にも成功した。さらに,アクリジンオレンジをゲスト分子に用いた実験では,核酸塩基の違いにより構造の異なる会合体が形成する新規な現象を発見し,分岐型人工DNAの機能を明らかにする糸口が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,アクリジンオレンジをゲスト分子に用いた会合体の構造を解析すると共に,分岐型人工DNAの持つ会合体形成能を薬物との会合体形成に発展させて,ドラックデリバリーに応用可能か,会合体の安定性などの基本的な性質をさらに詳細に検討する。また分岐型人工DNA6量体の合成を完了し,その会合体形成能についても検討を進める。
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