2015 Fiscal Year Annual Research Report
分岐型DNA合成を基盤とするDNAカプセルおよびDNAシートの創製
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26670008
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
今川 洋 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80279116)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 三量体DNA / 分子認識 / 蛍光 / インターカレーション / 会合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に見出した,三量体DNAの包接現象をさらに詳細に検討するために,ゲスト分子としてアクリジンオレンジを用いた検討を進めた。アクリジンオレンジは赤色蛍光を有するが,二本鎖DNAにインターカレートすると緑色の蛍光を発する事が知られており,細胞の生死判定等に用いられる。このアクリジンオレンジをゲスト分子として,三量体DNAと混合したところ,三量体dAと三量体dT,アクリジンオレンジを1対1対1に混合した場合に,溶液は赤色蛍光を示したが,24間放置後は,赤色の沈殿を生じると共に,溶液は緑色の蛍光を示すことが明らかとなった。この上澄み液をESI質量分析装置で測定したところ,混合した三成分の1対1対1に対応した分子イオンが観測された。また1H NMR測定では,三種を混合した際のケミカルシフトが,三量体dAとアクリジンオレンジのみ,及び,三量体dTとアクリジンオレンジのみをそれぞれ混合した際の,二系分の混合物のケミカルシフトと大きく異なることから,三成分複合体の生成が示唆された。さらに,MOEを用いたドッキングシミュレーションの結果でも,三成分複合体が安定に存在することが示された。またその最安定構造では,二つの核酸塩基に,アクリジンアレンジが挟まれたような形を取っており,この構造が,アクリジンオレンジが二本鎖DNAにインターカレートした際と類似の効果を示して,緑色蛍光を発する原因の一つとなっていると考えられた。さらに生じた赤色の沈殿は,薄い塩基の水溶液で洗うと,赤色は容易に洗い流されて,薄い黄色に変色することから,三量体DNAが会合して沈殿し,その表面にアクリジンオレンジが吸着して,赤色蛍光を発しているものと考えられた。この沈殿中では,三量体DNAが分子間で規則正しく会合した多量体構造を取っている可能性があり,その構造様式を解明することは,分岐型DNAの機能を解析する上で,極めて重要であると考えられる。
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