2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670029
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 智之 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40303846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 和幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50644936)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マスト細胞 / 遺伝子発現 / クロモグリク酸ナトリウム / 神経成長因子 / TrkA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳内に分布するマスト細胞の特徴を明らかにし、これを反映する培養モデルを構築することを通じて、マスト細胞が関与する脳内の炎症性疾患を制御するアプローチを見いだすことを目的としている。平成26年度は以下の成果を得た。 1.脳内マスト細胞の発現遺伝子の解析:共同研究を通じて脳内マスト細胞のシングルセルレベルの遺伝子発現解析を実施した。脳内マスト細胞は組織結合型マスト細胞と類似していたが、プロスタグランジンD2合成酵素(Ptgds)、グルタミン酸脱炭酸酵素(Gad1)、Ncam1、Vcam1といった遺伝子は脳内マスト細胞特異的に高い発現を示した。 2.クロモグリク酸ナトリウムの分子標的の同定:マスト細胞の脱顆粒応答を抑制することが知られているクロモグリク酸ナトリウムの受容体候補分子を同定し、誘導体のスクリーニングを通じて高親和性リガンドの探索を開始した。 3.マスト細胞におけるTrkA発現の解析:マウス骨髄細胞由来の未成熟マスト細胞モデルにおいて、抗原、リポ多糖の共刺激によりTrkAの発現が誘導されること、このときNGF刺激によりIL-6が転写レベルで誘導されることを見いだした。 4.線維化応答の解析:神経線維腫に代表される脳内の線維化疾患にマスト細胞が関わることから、初代培養のマスト細胞と線維芽細胞との共培養系における線維化応答の進展について検討した。マスト細胞は共存するだけで、α平滑筋アクチン、結合組織増殖因子といった線維化の指標となる遺伝子発現を誘導することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画の項目をおおむね達成している。脳内マスト細胞の精製について、予想通り回収量が極めて小さいことから性質を解析するに至っていないが、一方で培養モデル構築に向けては計画を先取りしており、クロモグリク酸ナトリウムの受容体リガンドのアッセイ系の構築にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も年次計画通り研究を継続する予定である。脳内マスト細胞の精製については、いくつか代替方法を検討する予定であるが、次年度もうまくいかない場合については、培養モデルによる近似に注力する予定である。
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Research Products
(4 results)