2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満抑制機能解明に繋がるUCP1高発現褐色脂肪細胞への効率的分化誘導手法の開発
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26670032
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (30098131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 賢彦 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (00632639)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肥満 / 褐色脂肪細胞 / UCP1 / PAF受容体 / PAF受容体ノックアウトマウス / PAF / β3アドレナリン受容体 / コンディショナルノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
PAFは、アレルギー・炎症等種々の病態発症・進展時のメディエーターとして機能していると考えられてきたが、PAF受容体欠損マウスに野生型では認められなかった内蔵脂肪・体重の有意な増大を認めるとともに褐色脂肪組織のUCP1は顕著に発現低下していることを認めた。これまで炎症に関わるメディエーターとされてきたPAFの生体内機能に新たに生理機能不全と連携したメタボリックシンドローム発症に関わっていることを示す研究成果を発表している(FASEB J, 28, 440-452, 2014)。本研究では、高カロリー食摂餌PAF受容体欠損マウスでも野生型と比べ肥満は亢進するが、糖尿病病態の発症が抑制されており、PAFは肥満時の糖尿病の発症に関わる役割が低いことを示す知見を得た。PAF受容体欠損マウスにおける肥満亢進の原因として、褐色脂肪細胞に着目し、その機序を解明するために熱産生制御因子UCP1を効率的に発現させた脂肪細胞を作製し、脂肪細胞への分化誘導時のUCP1発現に関わるPAFの役割解明を目指した。脂肪細胞への分化誘導時のPAFの役割解明に適した細胞株の樹立を進め、11株について、PAFやβ3アドレナリン受容体アゴニスト刺激によるUCP1の発現亢進を解析したが、クローニング前の褐色前駆脂肪細胞を用いた結果を上回る細胞株を得ることが出来なかった。全身性のPAF受容体欠損マウスに認められた肥満の原因細胞を同定するため、PAF受容体のコンディショナルノックアウトマウスの作製に着手した。PAF受容体遺伝子の組換えES細胞ではPAF受容体遺伝子のexon 1の途中から終わりまでがloxP配列で挟まれた構造となっており、現在、脂肪細胞に着目してコンディショナルノックアウトマウスを作製しており、PAFを介したUCP1発現調節機構の解明に供する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満の原因細胞の一つとして考えている褐色脂肪細胞に着目し、単一細胞由来の前駆脂肪細胞株樹立のため、p53欠損マウスの褐色脂肪組織をコラゲナーゼ処理後、Irieらの方法に従い(Biochem Biophys Res Comm, 1999; 255, 221-225)間葉系幹細胞を含む間質・血管系画分を分離、培養、クローニングを行った。単一細胞由来の前駆脂肪細胞株を複数樹立し、PAFやβアドレナリン受容体リガンドを用いて解析を進めたが、UCP1発現亢進作用はクローニング前と比べ低いものであり、分化誘導やUCP1発現誘導の解析に適したクローンは樹立できなかった。肥満の原因細胞が褐色脂肪細胞であったとしても、UCP1発現が複数の細胞のクロストークで行われている可能性が考えられ、組織レベルでの解析を進めるために、現在、脂肪細胞に着目してコンディショナルノックアウトマウスを作製しており、PAFを介したUCP1発現調節機構の解明に供する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見からPAF受容体による熱産生調節が肥満制御に最も重要であると考えられるため、今後は脂肪細胞に着目してコンディショナルノックアウトマウスを作製する。 PAF受容体遺伝子の組換えES細胞はInternational Knockout Mouse Consortium(project ID; CSD25997)から入手し、組換えES細胞を用いてキメラマウスの作製を行ったところ計28匹を獲得することができた。次に獲得したキメラマウスとC57BL/6Nマウスを交配したところ計12匹の仔がgermline transmissionを確認でき、PAF受容体floxedマウスの作製に成功している。現在、Adiponectin-CreマウスおよびUcp1-CreマウスとPAF受容体floxedマウスを交配しており、脂肪細胞特異的なPAF受容体ノックアウトマウスを作製できる可能性が高い。脂肪細胞特異的なPAF受容体ノックアウトマウスを用いて、組織・細胞レベルでのPAFを介したUCP1発現調節機構ならびに熱産生抑制機序の解明を進める。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Antiobese function of platelet-activating factor: increased adiposity in platelet-activating factor receptor-deficient mice with age.2014
Author(s)
Sugatani J, Sadamitsu S, Yamaguchi M, Yamazaki Y, Higa R, Hattori Y, Uchida T, Ikari A, Sugiyama W, Watanabe T, Ishii S, Miwa M, Shimizu T
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Journal Title
FASEB J.
Volume: 28
Pages: 440-452
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Tight junctional localization of claudin-16 is regulated by syntaxin 8 in renal tubular epithelial cells.2014
Author(s)
kari A, Tonegawa C, Sanada A, Kimura T, Sakai H, Hayashi H, Hasegawa H, Yamaguchi M, Yamazaki Y, Endo S, Matsunaga T, Sugatani J
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 289
Pages: 13112-13123
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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