2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670033
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北川 裕之 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (40221915)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 多核形成 / 加齢 / プロテオグリカン / 不妊 / 糖転移酵素 / 卵巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンドロイチン硫酸の欠損胚(GlcAT-1KO マウス由来)は、多核割球が形成され致死に至る。また、加齢に伴うコンドロイチン硫酸の減少は、変形性関節症などの加齢疾患の原因となる。本研究では、加齢による卵巣のコンドロイチン硫酸の減少が多核割球形成(不妊)の原因となるという仮説を検証している。 加齢マウス(12ヶ月齢)及び若齢マウス(3ヶ月齢)の卵巣組織におけるコンドロイチン硫酸量を定量すると、卵巣のコンドロイチン硫酸は加齢に伴って減少していた。コンドロイチン硫酸鎖に対する抗体を用いた組織化学的解析から、マウスの卵巣では、卵細胞や顆粒膜細胞でコンドロイチン硫酸が強く発現していることが判明した。また、加齢マウスでは若齢マウスと比較して、コンドロイチン硫酸鎖に対する抗体の反応性が卵細胞や顆粒膜細胞で顕著に減少していたことから、加齢に伴って卵巣のコンドロイチン硫酸が減少することが明らかとなった。 そこで、加齢によるコンドロイチン硫酸の減少の原因がコアタンパク質の減少によるのではないかと考え、主に卵巣組織に発現しているコンドロイチン硫酸プロテオグリカンとして知られているBamacan, Versican, Decorinの発現量を解析したが、有意な差は認められなかった。次に、コンドロイチン硫酸鎖を合成する酵素である、コンドロイチン合成酵素(ChSy-1, -2, -3)やコンドロイチン重合化因子(ChPF)、コンドロイチンN-アセチルガラクトサミン転移酵素(ChGn-1, -2)の発現量を解析したが、加齢に伴った変化は見られなかった。しかし、コンドロイチン硫酸鎖の結合領域の合成開始に係るキシロースをセリン残基に転移する酵素(XylT-1, -2)について解析したところ、XylT-2の遺伝子発現量に有意な差は見られなかったが、XylT-1では加齢マウスで発現量が顕著に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった、マウス卵巣における加齢に伴ったコンドロイチン硫酸鎖の減少を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
多核割球形成機序の解明のためには、細胞分裂のいずれの段階(核の分配、分裂溝の進行、中央体の形成、細胞間の脱離)に異常を呈しているのかを明らかにする必要がある。卵割過程を詳細に観察するために、核及び紡錘体を蛍光タンパク質によって可視化しライブイメージングを行う。受精卵は2細胞期までは転写活性がないことから、mRNAをマイクロインジェクション法で1細胞期胚に導入し可視化を試みる。今後は、我々が所有するGlcAT-I KOマウス由来の胚を用い解析を行い、ライブイメージング系の構築を行う。さらに、初年度の結果から、加齢マウスでもXylT-1の発現量を増加させることができれば正常な割球が形成され、妊孕性の向上につながる可能性があるので検証する。
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Causes of Carryover |
本年度は、他のプロジェクトと共通に使用している試薬の利用が多かったので、年度末にかけての試薬発注が多く次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、年度末に既に必要な試薬の発注および購入をしているので、計画的な運用ができるものと思われる。
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[Book] Handbook of Glycosyltransferases and Related Genes, 2nd Ed (Taniguchi, N., Honke, K., Fukuda, M., Narimatsu, H., Yamaguchi, Y., and Angata, T., eds)2014
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