2014 Fiscal Year Research-status Report
イオンチャネル標的創薬における細胞死測定による新規高効率探索系の創出
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26670039
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60117794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 寿男 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80398362)
鈴木 良明 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80707555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞死 / ハイスループットスクリーニング / イオンチャネル / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 1 発の活動電位発生により細胞死が引き起こされる細胞(「新規作成細胞」)の完成:ヒト心臓由来Na+ (Nav1.5)チャネル遺伝子の第3と第4セグメントの間の細胞内領域のIMF をQQQ へ点変異を加えることにより、不活性化が著しく遅延される変異型Nav1.5 チャネルを作製した。変異型Nav1.5 チャネルに加えて、静止時に変異型Nav1.5 チャネルの活性化を防ぐためヒト内向き整流性K+(Kir2.1)をHEK293細胞に共発現させた定常発現細胞を作製した。パッチクランプ法で電流を測定したところ、不活性化を起こさない持続的なNa+電流および活動電位が観測された。双極白金電極によって電気刺激を与えてトリパンブルー染色で細胞死を観察したところ、5分後には50%以上の細胞で細胞死が起こった。しかし、培養液交換等の日常的な刺激で細胞死が生じ、変異型Nav1.5 チャネルの発現低下が生じた。そのため、リドカインを培養液中に添加することで変異型Nav1.5 チャネルの発現を維持・増大させる方法を開発した(②参照)。Nav1.8のクローニングを試みたが、全長配列を得るには至っていない。 ② 定常発現型の「新規作成細胞」のevaluation:定常発現型細胞においてパッチクランプ法により、膜電流及び持続的な活動電位が記録されるかを検証した。リドカイン存在下で48時間以上培養したところ、ほぼ100%の割合で1nAを超えるNa電流および長時間持続する活動電位が観測された。定常発現後に、96 穴細胞培養プレートへ双極白金電極を浸入させ、電気刺激した後、MTT法によって細胞死が生じる割合を検証した。その結果、細胞死の割合は正常でほぼ0%、変異型でほぼ80%程度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 発の活動電位発生により細胞死が引き起こされる細胞の樹立に成功した。長期間培養することで、変異型Nav1.5チャネルの発現が減少する現象が見られたが、リドカインを培地中に添加することで改善された。白金線による電気刺激でも高確率の細胞死が引き起こされ、一過性発現に比べて安定した結果が得られた。Nav1.8のクローニングを試みたが全長配列を得るところまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在定常発現細胞の作製は、リポフェクション法による遺伝子導入後、抗生剤耐性遺伝子の発現を利用したセレクションにより行っている。しかし、上記の通り、通常の細胞培養において、軽微な刺激(培地交換や細胞の継代作業)により、変異型Nav1.5 チャネルが活性化し細胞死を誘発してしまうと考えられる。その結果、変異型Nav1.5 チャネルの発現が少ない細胞しか生き残らず、電気刺激に対する感受性が極端に落ちてしまうという現象が生じた。リポフェクション法による一過性発現では細胞間で発現量がばらつくため、双極白金電極など電気刺激によるスクリーニングには不向きである。 そこで、より強力な遺伝子導入系であるウイルスを用いて、発現効率を上げる方策を新たに導入する。現在バキュロウイルスによる遺伝子導入法を試行中であり、リポフェクション法よりも優れた導入効率を示す予備的なデータを得ている。また、より導入効率が高いアデノウイルスや定常発現を可能とするレンチウイルスの応用も検討する。更により安全で簡便なゲノム編集によって、安定的なイオンチャネル発現が可能になるか検討する。 今後は創薬ターゲットとなるイオンチャネルも含めた3遺伝子の共発現系の作製が必須であり、現在の遺伝子導入法と、ウイルスベクターやゲノム編集など新たな遺伝子導入法を組み合わせて、定常発現細胞のバリエーションを増やしていく。 また、完成しなかったNav1.8遺伝子のクローニングにも引き続き取り組む。現在ヒト脳のtotal RNAしか使用していないので、よりNav1.8発現が豊富な脊髄後根のtotal RNAを購入して検討を行う。
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Causes of Carryover |
大学院生を研究に従事させて学会発表をさせる予定であったが、事情により多くの実験を研究分担者である教員が行ったため、人件費・謝金を計上しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ウイルスやゲノム編集など新たな遺伝子導入系を立ち上げるための試薬やクローニングに用いる試薬(DNAポリメラーゼ、ヒト脊髄後根神経のtotal RNAなど)の経費として計上する。
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[Journal Article] Upregulation of KCa3.1 K(+) channel in mesenteric lymph node CD4(+) T lymphocytes from a mouse model of dextran sodium sulfate-induced inflammatory bowel disease.2014
Author(s)
Ohya S, Fukuyo Y, Kito H, Shibaoka R, Matsui M, Niguma H, Maeda Y, Yamamura H, Fujii M, Kimura K, Imaizumi Y.
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Journal Title
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.
Volume: 306(10)
Pages: G873-85
DOI
Peer Reviewed
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