2014 Fiscal Year Research-status Report
化学的分子送達システムの創製―腫瘍を標的とする核集積性ホウ素キャリアの開発―
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26670059
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永澤 秀子 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90207994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / ホウ素キャリア / 化学的分子送達システム / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)における腫瘍特異的10B原子の送達のための新規ホウ素キャリアとして、フリップ運動で直接膜を透過する人工リポペプチドのPepudicinの細胞内移行メカニズムをモデルとする新規送達システムを導入した分子を設計した。細胞膜を透過しにくい親水性「積荷」分子として、現在臨床適用されているホウ素クラスター分子のBorocaptate sodium(BSH)を選択し、細胞内移行ビークルであるリポペプチドのPepudicinとジスルフィド結合させた。まず、細胞内および核移行性及びイメージング機能を付与するため、蛍光色素のクマリン或いはHoechst 33342を導入した細胞内送達のためのモデルプローブ分子の設計と合成をおこなった。クマリン導入プローブの合成を達成し、MSF-7乳がん細胞を用いて生細胞イメージングを行ったところ、細胞膜に蛍光の局在が認められたが、細胞内への移行は観察されなかった。そこで、蛍光色素とて核局在性を有するHoechst 33342を導入したプローブの設計と合成をおこない、複数のペプチド配列を有するpepducin誘導体の合成に成功した。現在これらの分子の生細胞イメージング及び、ICP-MSによる細胞内ホウ素の定量について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
候補化合物の合成において、生細胞イメージングのために、蛍光色素を導入した複数の分子を設計し、合成を達成したが、得られた分子の物性(水溶性、疎水性バランス)に問題があることがわかり、再度分子設計にこの知見をフィードバックして種々のホウ素クラスター誘導体の合成をおこなった。はじめ、イメージングとオルガネラ移行性のために蛍光色素を導入した分子設計を行ったが、これらの色素の物性の影響も考慮し、蛍光色素を持たないホウ素キャリアの合成もさらにおこなった。本年度は細胞内移行性ホウ素キャリアの開発までを目指したが、上記のように分子設計を見直しながら細胞内移行のための種々の候補化合物の合成を達成し、その細胞内動態の評価については現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内蛍光イメージングと細胞抽出物のICP-MS分析によるホウ素原子の定量により、細胞内送達能の評価を完了し、さらにペプチド構造とリンカー構造の構造展開を行い、核移行性および細胞内移行性の優れた分子へと導く。次いで、血清アルブミンとの結合ペプチドをがん細胞で強発現するMMP-2切断配列を介して結合させた、腫瘍特異的プローブの合成へと展開し、担がんマウスモデルにおける組織分布の評価を行い、中性子捕捉療法を実施する。
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Causes of Carryover |
細胞内動態評価を次年度に持ち越したためそれに必要な経費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の消耗品代にあてる。
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Research Products
(4 results)