2014 Fiscal Year Research-status Report
新規シアリダーゼプローブを利用したウイルス感染の蛍光イメージング法の開発
Project/Area Number |
26670064
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
高橋 忠伸 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (20405145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シアリダーゼ / 蛍光イメージング / 蛍光染色 / 検出剤 / インフルエンザウイルス / センダイウイルス / ニューキャッスル病ウイルス / シアル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスや一部のパラインフルエンザウイルスはシアリダーゼと呼ばれる酵素活性を持つ。感染細胞ではこのシアリダーゼが高発現する。ベンゾチアゾリルフェノール誘導体(BTP)は、紫外線照射により官能基の種類や位置の違いで様々な波長の蛍光を示す、不溶性結晶固体である。BTPにシアル酸(Neu5Ac)を付加したBTP-Neu5Acは、シアリダーゼと反応して酵素の存在部位にBTPを沈着させることにより、シアリダーゼの局所蛍光イメージングを可能にするものと予想される。本研究は、上記のウイルス感染部位または感染細胞内のシアリダーゼ活性を、組織の固定化や抗ウイルス抗体を必要とせず、BTP-Neu5Acを添加するのみの極めて簡便な方法で、短時間で高感度に蛍光イメージングを可能にする画期的技術を確立することが目的である。 BTP誘導体の一つであるBTP3にNeu5Acを結合させたBTP3-Neu5Acを使用して、シアリダーゼを有するウイルスである、ヒト呼吸器ウイルスのインフルエンザA型・B型ウイルス、げっ歯類病原ウイルスのセンダイウイルス、鳥類病原ウイルスのニューキャッスル病ウイルスの感染細胞の緑色蛍光化に成功した。BTP3-Neu5Acによる感染細胞の蛍光染色は10分間程度で可能であった。これらのウイルスをタンパク質吸着膜上にブロットし、BTP3-Neu5Acを反応させると、ウイルスを吸着させた領域が蛍光染色された。固定化の必要がないため、プラーク状に蛍光化した感染細胞の集団から直接、ウイルス株の分離にも成功した。インフルエンザウイルスにおいては、ウイルスのA型・B型、亜型、宿主に関係なく、蛍光化が可能であった。インフルエンザウイルスやセンダイウイルスを経鼻感染させたマウスの肺組織の感染部位もBTP3-Neu5Acにより蛍光染色できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目的であるシアリダーゼ活性の蛍光染色剤の開発は達成できた。本研究で開発したBTP3-Neu5Acは、シアリダーゼを持つウイルス感染細胞の蛍光染色において当初の予想以上に迅速で高感度であった。さらに、BTP3-Neu5Acはウイルス種における認識性に大きな差はなく、幅広いウイルスシアリダーゼに反応可能と示唆される。現在までに、インフルエンザA型・B型ウイルス、センダイウイルス、ニューキャッスル病ウイルスのシアリダーゼ活性の蛍光染色を報告した。さらに感染細胞の染色以外に、膜上に吸着させたウイルスの染色、感染動物の感染部位の染色も可能であることを示した。 シアリダーゼ蛍光染色剤の開発と3種のウイルス検出の実証に至り、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
シアリダーゼを持つウイルスは、本研究でBTP3-Neu5Acによる検出を実証したインフルエンザA型・B型ウイルス、センダイウイルス、ニューキャッスル病ウイルスの他に、ヒト呼吸器病原ウイルスのヒトパラインフルエンザウイルス、おたふく風邪の原因のムンプスウイルスがある。BTP3-Neu5Acが、ヒトパラインフルエンザウイルスやムンプスウイルスの検出が可能であるのか実証する。また、これらのウイルスは感染した細胞の種類やウイルス株によってはウイルス株の分離が困難な場合がある。BTP3-Neu5Acによる感染細胞の蛍光染色や、さらに感染細胞からのウイルス株の分離を試みる。 BTP3-Neu5Acによるインフルエンザウイルス検出の有用性が判明したことから、衛生検査機関と協力してインフルエンザウイルス検査における効率的なウイルス感染細胞の検出およびウイルス培養への応用をめざす。 BTP3-Neu5Acの構造改良によるシアリダーゼ染色の高感度化や蛍光染色の高精度化をめざす。そして、ウイルス感染細胞内のシアリダーゼ活性の蛍光イメージング技術の開発及び向上をめざす。
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Remarks |
研究代表者の受賞:日本糖質学会 平成26年度 奨励賞、(公財)長寿科学振興財団 平成26年度 長寿科学賞、東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合 第3回TOBIRA奨励賞、静岡県立大学(第一回)学長表彰 研究協力者(大学院生)の受賞:糖鎖科学中部拠点2014年度奨励賞、第19回静岡健康・長寿学術フォーラムポスター賞、第13回次世代を担う若手ファーマ・バイオフォーラム2014優秀発表賞
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Research Products
(58 results)
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[Journal Article] Amino acid substitutions contributing to α2,6-sialic acid linkage binding specificity of human parainfluenza virus type 3 hemagglutinin-neuraminidase.2015
Author(s)
Keijo Fukushima*, Tadanobu Takahashi* (*they contributed equally as first authors), Hiroo Ueyama, Masahiro Takaguchi, Seigo Ito, Kenta Oishi, Akira Minami, Erika Ishitsubo, Hiroaki Tokiwa, Toru Takimoto, Takashi Suzuki.
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Journal Title
FEBS Lett.
Volume: in press.
Pages: in press.
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Recombinant IgA specific for influenza A virus hemagglutinin: production, functional analysis and formation of secretory IgA.2015
Author(s)
Kentaro Shoji, Tadanobu Takahashi, Kohta Kurohane, Koki Iwata, Takeshi Matsuoka, Shogo Tsuruta, Takatomo Sugino, Masaki Miyake, Takashi Suzuki, Yasuyuki Imai.
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Journal Title
Viral Immunol.
Volume: 28
Pages: 170-178
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Terminal Sialic Acid Linkages Determine Different Cell Infectivities of Human Parainfluenza Virus Type 1 and Type 3.2014
Author(s)
Keijo Fukushima*, Tadanobu Takahashi* (*they contributed equally as first authors), Seigo Ito, Masahiro Takaguchi, Maiko Takano, Yuuki Kurebayashi, Kenta Oishi, Akira Minami, Tatsuya Kato, Enoch Y Park, Hidekazu Nishimura, Toru Takimoto, Takashi Suzuki.
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Journal Title
Virology
Volume: 464-465
Pages: 424-431
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] N-glycolylneuraminic Acid on Human Epithelial Cells Prevents Entry of Influenza A Virus with N-glycolylneuraminic Acid Binding Ability.2014
Author(s)
Tadanobu Takahashi, Maiko Takano, Yuuki Kurebayashi, Midori Masuda, Sawako Kawagishi, Masahiro Takaguchi, Takashi Yamanaka, Akira Minami, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Takashi Suzuki.
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Journal Title
J. Virol.
Volume: 88
Pages: 8445-8456
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Histochemical Fluorescent Visualization of Influenza Virus Sialidase activity.2014
Author(s)
Tadanobu Takahashi, Yuuki Kurebayashi, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Shunsaku Takahashi, Maiko Takano, Takashi Agarikuchi, Tsubasa Sato, Yukino Matsuda, Akira Minami, Hiroaki Kanazawa, Yuko Uchida, Takehiko Saito, Yoshihiro Kawaoka, Toshihiro Yamada, Fumihiko Kawamori, Robin Thomson, Mark von Itzstein, Takashi Suzuki
Organizer
The 11th Japan-China International Symposium on Health Sciences
Place of Presentation
Shizuoka
Year and Date
2014-11-05
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