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2014 Fiscal Year Research-status Report

脂肪細胞のダイオキシン受容体(AhR)はインスリン抵抗性誘発の責任分子か?

Research Project

Project/Area Number 26670066
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

榛葉 繁紀  日本大学, 薬学部, 教授 (20287668)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywordsダイオキシン / AhR
Outline of Annual Research Achievements

糖尿病患者数が年々増加する中、近年、国内外の多くの疫学研究により低濃度ダイオキシン類と糖尿病との関連が相次いで報告されている。本研究は、高脂肪食を用いて飼育した脂肪細胞特異的AhR欠損(A-AhR KO)マウスの病態解析を通じて、インスリン抵抗性の誘発に関連した脂肪組織におけるAhRの機能を明らかにするとともにAhRを標的にした新規糖尿病改善薬の開発を指向する。
本年度はA-AhR KOマウスの脂肪組織に関して解析を行った。高脂肪食下で飼育したコントロールマウスとA-AhR KOマウスとの間には、体重および脂肪組織重量に違いは認められなかった。しかしながらA-AhR KOマウスは、コントロールマウスに比較して良好な耐糖能およびインスリン感受性を示した。またインスリンシグナル伝達の解析により、このA-AhR KOマウスにおける全身の耐糖能ならびにインスリン感受性の変化が、脂肪組織におけるインスリン感受性の変化に起因することが明らかとなった。また、これらの変化は、通常食飼育時には認められなかった。すなわち脂肪組織AhRが肥満に伴う糖尿病発症における責任分子であることが示された。
肥満時には脂肪組織において免疫担当細胞が浸潤し、それに伴い起こる炎症が糖尿病発症に強く関わっている。そこで脂肪組織における炎症の程度を病理学的ならびに遺伝子発現の点から解析した。その結果、高脂肪食負荷によりコントロールマウスの脂肪組織ではマクロファージの浸潤ならびに炎症の惹起が認められたが、A-AhR KOマウスにおけるその程度はわずかであった。一方、通常食飼育下ではこれらの違いは認められなかった。すなわちAhRが肥満時における脂肪組織の炎症の惹起に関与することが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、高脂肪食負荷をした脂肪組織特異的AhR KO(A-AhR KO)マウスの病態生化学的・病理学的解析を主たる目的とした。
本年度に行った解析により、脂肪組織におけるAhRは高脂肪食飼育による体重および脂肪組織重量に対して影響を与えないことを明らかにした。またA-AhR KOマウスは、コントロールマウスに比較して良好な耐糖能およびインスリン感受性を示すこと、さらにはインスリンシグナル伝達の解析により、このA-AhR KOマウスにおける全身の耐糖能ならびにインスリン感受性の変化が、脂肪組織におけるインスリン感受性の変化に起因することを明らかにした。一方、これらの変化は、通常食飼育時には認められなかった。すなわち脂肪組織AhRが肥満に伴う糖尿病発症における責任分子であることが示すことができ、目的を達成したため。
高脂肪食負荷によりコントロールマウスの脂肪組織ではマクロファージの浸潤ならびに炎症の惹起が認められたが、A-AhR KOマウスにおけるその程度が軽減されることを明らかにできた。一方、通常食飼育下ではこれらの違いは認められなかった。すなわち肥満時における脂肪組織の炎症の惹起へのAhRの関与を示すことができ、目的を達成したため。

Strategy for Future Research Activity

今後は、脂肪組織AhRによる全身性インスリン感受性の制御機構と合成AhRアンタゴニストの糖尿病治療薬としての可能性を以下の点から明らかにする。
1. A-AhR KOマウス脂肪組織における脂肪分解活性の検討
① 内的刺激による脂肪分解:マウスを絶食下におき、経時的な体重変化、血中遊離脂肪酸量、ならびに脂肪組織重量を測定する。またその際の脂肪組織における脂肪合成・分解にかかわる因子の遺伝子発現を解析する。② 外的刺激による脂肪分解:イソプロテレノールを投与し、その後の血中遊離脂肪酸量ならびにグリセロール量の上昇の程度を解析する。③ Ex vivo系における検討:脂肪組織を単離し、ex vivoにおいて同様にイソプロテレノールで処理し、放出された遊離脂肪酸量ならびにグリセロール量を測定する。④ これらの検討によりA-AhR KOマウスにおける脂肪分解活性の変化が認められたならば、脂肪分解を担うAdipose triglyceride lipaseおよびHormone sensitive lipase の量ならびに活性化(リン酸化)の程度をウエスタンブロット法により解析する。
2. AhR アンタゴニストによる糖尿病改善作用
以上の結果より脂肪細胞AhRの不活性化が、耐糖能ならびにインスリン感受性を亢進させ、全身の代謝機能を改善することが示されたならば、AhRアンタゴニストを用いて、その糖尿病改善薬としての効果を検討する。高脂肪食負荷した野生型C57BLマウスあるいはKK-Ayマウス(糖尿病モデルマウス)に対して特異的AhRアンタゴニストCH-223191 を4週間経口投与(10mg/kg体重)する。改善効果は、摂食時ならびに空腹時の血糖値の測定に加え、耐糖能試験/インスリン負荷試験のスコアを指標に検討する。

Causes of Carryover

キャンペーンの利用やメーカーの変更などにより効率的に物品の購入を行うことができたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

27度は、メカニズム解析が中心となる。そのため遺伝子発現量の解析ならびにタンパク質量の解析に必要な試薬、例えば、分子生物学的実験用試薬ならびに抗体等の購入が中心となる。また遺伝子改変マウスの維持管理を引き続き行うための経費に使用する。AhRアンタゴニストの糖尿病改善薬としての可能性の検討を行うためにマウスの購入に経費を使用する。
最終年度となるため成果の発表に関する経費も使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 2014

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Ah(ダイオキシン)レセプターは脂肪組織における肥満依存性の炎症誘発を介して糖尿病発症に関与する2015

    • Author(s)
      和田平、笠倉由貴、榛葉繁紀
    • Organizer
      日本薬学会第135年会
    • Place of Presentation
      神戸学院大学(神戸)
    • Year and Date
      2015-03-27
  • [Presentation] 脂肪組織のAh(ダイオキシン)レセプターは肥満に依存した糖尿病発症の原因分子である2014

    • Author(s)
      和田平、笠倉由貴、榛葉繁紀
    • Organizer
      環境ホルモン学会 第17回研究発表会
    • Place of Presentation
      東京大学山上会館(東京)
    • Year and Date
      2014-12-09
  • [Presentation] 脂肪組織におけるAh(ダイオキシン)レセプターは肥満依存性の糖尿病発症に関与する2014

    • Author(s)
      榛葉繁紀
    • Organizer
      第35回日本肥満学会
    • Place of Presentation
      シーガイアコンベンションセンター(宮崎)
    • Year and Date
      2014-10-24
  • [Presentation] Ah(ダイオキシン)レセプターは脂肪組織における肥満依存性の炎症誘発を介して糖尿病発症に関与する2014

    • Author(s)
      笠倉由貴、和田平、榛葉繁紀
    • Organizer
      フォーラム2014 衛生薬学・環境トキシコロジー
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場(つくば)
    • Year and Date
      2014-09-19

URL: 

Published: 2016-05-27  

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