2014 Fiscal Year Research-status Report
核酸クロマトグラフィーを利用した薬剤反応性予測SNP検出法の開発
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26670071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平塚 真弘 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50282140)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一塩基多型 / 遺伝子診断法 |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸クロマトグラフィーを利用して、患者のベッドサイドや外来の診療現場で簡便かつ迅速に薬剤反応性を予測する一塩基多型(SNP)検出法を開発することが本研究の目的である。現在までに開発されているSNP解析法として、PCR-制限酵素-電気泳動法、TaqMan PCR法、Hybridization Probe法、Invader 法、ダイレクトシークエンス法など様々な方法が挙げられるが、これらの方法は操作の煩雑性、高額な検出機器の必要性、解析結果を解釈するための専門的な知識を必要とするため、受託解析会社や大学・研究機関に依頼して行わざるをえない。しかしながら、実際の臨床現場で遺伝子解析結果を治療に応用するためには、簡便・迅速、低コスト、解析結果の容易な解釈が可能な方法が必要とされる。そこで本研究では遺伝子多型部位を特異的に増幅する対立遺伝子特異的(Allele Specific )PCR法とSingle Tag Hybridization-Printed Array Strip(STH-PAS)法を組み合わせて、ミトコンドリアDNAの1555番目の遺伝子多型の有無を1本のストリップ上で可視化し、遺伝子型の特定を簡便かつ迅速に行う核酸クロマトグラフィー法を構築した。方法は、DNAタグ及びビオチンラベルした対立遺伝子特異的プライマーを用いてPCR法により増幅し、その産物をアビジンラベルした青色ナノ粒子を含む展開液と混合し、DNAタグと相補的な配列を持つ10塩基程度のオリゴDNAがライン上に塗布されたストリップに展開する。数分後、ストリップ上に青色のラインが検出された位置を読み取ることにより、SNPの有無を1本のストリップで検出できる。本法を用いることにより、血液のDNA精製から結果を得るまでに約2時間で検出が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、(1)ミトコンドリアDNA 1555A>G多型を同定する対立遺伝子特異的PCRプライマーの設計、(2) Multiplex PCR条件の設定、(3)最適なDNAタグ配列の探索と核酸クロマトグラフィー展開条件の設定、(4)プライマーダイマー排除法の検討の4項目を計画した。その結果、プライマー長は20mer程度とし、オリゴDNAの3’端にSNPが位置するように設計する。また、3’端の隣の塩基をA、T、G、Cにした人為的ミスマッチプライマーを野生型及びSNP型検出プライマーをそれぞれ4種類作製し、その中から最適な1組のプライマー配列を決定できた。次に、プライマーの精製グレード(ゲル濾過、OPC精製、HPLC精製)、DNAポリメラーゼの各社製品、反応温度条件の最適条件を決定し、PCR終了後、核酸クロマトグラフィー上に展開した際の青色のバンドが明確に目視できるような展開条件(バッファー組成など)も最適化を行った。最後にできるだけプライマーダイマーが形成されないような反応条件を設定して、この検出系が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では改善の必要がある点も存在する。ラテックスビーズを用いた検出では、感度良く検出が可能であるが、金コロイドを用いた検出よりも非特異的バンドが強い。一方、金コロイドを用いると感度は低いが、非特異的バンドの検出を回避することができる。偽陽性を防ぎ、感度の良い結果を得るためには、野生型および変異型サンプルのAllele Specific PCR増幅量をそろえることが必要である。それにより両者のそれぞれの欠点を補うことができ、より正確性の高い検出が可能になると考える。今後取り組むべき点としては、以上の点に加えて、本法の正確性の確認、唾液などの血液以外のサンプルから遺伝診断する方法の構築、DNA精製を経ずにサンプルを直接PCRし、時間短縮および簡便化することなどが挙げられる。加えて、抗凝固薬ワルファリンの代謝酵素であるCYP2C9と標的分子であるビタミンKエポキシド還元酵素複合体1(VKORC1)のSNPが同薬の凝固活性を予測する遺伝子多型マーカーとして注目されている。そこで、平成27年度はCYP2C9の1075A>C及びVKORC1の1173C>T多型を同時に検出できる核酸クロマトグラフィー法を平成26年度の検討と同様にして開発する。
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