2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロニードル技術を用いた免疫性皮膚疾患に対する新規薬物療法の開発
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26670076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90312123)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロニードル / 経皮薬物治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、独自に開発したマイクロニードル技術を応用することによって、免疫性皮膚疾患の病変部位に痛みや刺激を伴うことなく確実に薬効成分を送達できる経皮投与製剤を開発し、その安全性と有効性を評価する前臨床研究・臨床研究を強力に推進する。また、マイクロニードル製剤の物理化学的特性と皮膚穿刺特性との関連性を精査し、ヒト皮膚に確実に穿刺することのできるマイクロニードル製剤を安定に製造する基幹技術の改良・強化を図る。 26年度は、ステロイド (ベタメタゾン) あるいはタクロリムスを針部に装填した皮膚内溶解型マイクロニードルを作製し、それらがマウスあるいはラット皮膚に貼付した際に効率よく装填薬物を表皮・真皮へと送達できることを確認した。また、これらのマイクロニードル製剤の針部強度を測定すると、ヒト皮膚に対して穿刺能力を有する基準をクリアしていた。そこで、皮膚炎モデルマウスに対してステロイド (ベタメタゾン) を装填した皮膚内溶解型マイクロニードルを連日病変部に貼付したところ、対照群であるベタメタゾン軟膏塗布群と比較して適用部位の炎症所見に高い改善効果が認められる結果を得ることができた。現在、これら処置した病変部皮膚を回収し、病理組織学的検査にて皮膚肥厚、組織損傷、免疫細胞・炎症性細胞の浸潤、などを評価するとともに、RT-PCR法を用いて炎症性サイトカインの発現レベルを比較している。 さらに、マイクロニードル製剤の薬物利用率を向上させることを目的に、これまで使用してきた皮膚内溶解型マイクロニードル製剤とは薬物装填方式の異なる薬物溶着型マイクロニードル製剤の開発・評価を進め、ヒト皮膚に対して十分な穿刺能力ならびに薬物送達効率を示すプロトタイプの作製に成功した。現在、臨床研究での安全性試験に向けて基礎データの充実を図っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステロイド (ベタメタゾン) あるいはタクロリムスを装填したマイクロニードル製剤の作製、動物実験における有効性評価、新たな薬物装填方法のマイクロニードルの開発、を当初の計画に従って進めており、免疫性皮膚疾患に対する新たな薬物治療技術の構築につながる成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚炎モデルマウスに対するステロイド (ベタメタゾン) あるいはタクロリムスを装填したマイクロニードル製剤の奏効性に関する検証を継続するとともに、新たに開発した薬物溶着型マイクロニードル製剤を用いた臨床研究実施に向けて倫理委員会への申請に必要な基盤情報の収集を強力に推進する。
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