2014 Fiscal Year Research-status Report
組織押圧・吸引圧を利用した遺伝子導入システムの開発
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26670082
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一憲 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70402500)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 医療・福祉 / バイオテクノロジー / バイオ関連機器 / 遺伝子治療 / 組織押圧法 / 組織吸引圧法 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子工学の生物医学領域や遺伝子治療への応用において臓器特異的遺伝子発現を実現するシンプルなin vivo遺伝子導入システムの開発が強く望まれている。本研究では、マウス組織吸引圧法の吸引圧最適化と組織押圧・吸引圧法における遺伝子導入メカニズムの解明について検討をおこなった。まず、吸引圧の影響に関して、肝臓では-5kPa、腎臓では-15kPa以上の吸引圧群で、非吸引圧群に比べ、それぞれの臓器において有意に高い遺伝子発現がみられた。安定して遺伝子発現が得られる-10kPaにおける肝臓吸引後の肝毒性は吸引直後に僅かにみられたが、すぐに正常レベルに回復した。一方、-30kPaにおける腎臓吸引後の腎毒性はほとんどみられなかった。次に、腎臓押圧法において重要な遺伝子発現の因子であったpDNAの細胞内透過亢進と転写因子結合の影響に着目し、腎臓吸引圧法におけるこれら因子の検討をおこなった。腎臓吸引とpDNA投与タイミングに関して、pDNA投与直後に比べ、投与10, 20, 60秒前に腎臓を吸引することで、遺伝子発現の著しい低下がみられた。これは、組織吸引圧により0~10秒間のpDNAの膜透過亢進がおこっていることを示唆している。また、転写因子への結合部位を持たないpDNAに比べ、結合部位を持つ pDNA (AP-1, NF-kB)では、高い遺伝子発現を示した。これらの組織吸引圧法における知見は、以前我々が報告した組織押圧法での結果と一致するものであり、類似のメカニズムを示唆するものである。また、腎臓での遺伝子発現部位の検討をおこない、組織押圧・吸引圧法ともに尿細管の毛細血管付近において遺伝子発現がみられることを明らかにした。これらの知見は、組織押圧・吸引圧法を利用した遺伝子機能解析や遺伝子治療の開発において有益な情報を提供するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に従い、進めていきたい。
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Causes of Carryover |
投稿論文作成が僅かに遅れたことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1ヵ月ほど遅れたものの既に投稿論文作成は完了した。従来の計画通りの遂行が可能であると判断している。
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