2015 Fiscal Year Research-status Report
組織押圧・吸引圧を利用した遺伝子導入システムの開発
Project/Area Number |
26670082
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一憲 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70402500)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 遺伝子 / 医療・福祉 / バイオテクノロジー / バイオ関連機器 / 遺伝子治療 / 組織押圧法 / 組織吸引圧法 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物医学領域や遺伝子治療の領域において、臓器特異的遺伝子発現を実現するシンプルなin-vivo遺伝子導入システムの開発が強く望まれている。本研究では組織押圧・吸引圧法を利用した新規遺伝子治療法やin-vivo遺伝子機能解析へと展開するための基盤研究をおこなう。本年度は、組織吸引圧法による長期遺伝子発現系の構築や病態時における遺伝子発現の評価および最適化をおこなった。肝臓への組織吸引圧法に関して、遺伝子発現レベルの向上を目指し、組織吸引できる面積を5倍に増やした吸引デバイスの開発をおこなった。まず、長期遺伝子発現系の構築に関して、phiC31インテグラ―ゼを併用した系では腎臓において発現の持続化が得られなかった。この系では、長期発現を得るためには2種類のプラスミドを同時に同じ細胞に導入する必要があるため、組織吸引圧法では持続化できなかったものと推察された。そこで、単一のプラスミドによる発現持続化を目指すため、pCpGfree-luciaをベクターとして選択し、組織吸引圧法による長期発現系の構築をおこなった。腎臓ならびに肝臓へ遺伝子導入をおこなったところ、2週間に渡る長期間持続した発現を得ることができた。次に、遺伝子治療のための重要な基礎的知見を得るため、組織透明化を利用した腎臓における遺伝子発現部位の評価をおこなったところ、腎臓吸引圧法では、腎臓の血管内皮細胞ではなく、周皮細胞や繊維芽細胞に対して遺伝子導入されている可能性が示された。一方、病態時における影響に関して、正常マウスに対して、四塩化炭素誘発性急性肝炎モデルマウスでは同レベル、肝繊維症モデルマウスでは約1/10となったが高い肝臓での遺伝子発現が認められた。これらの結果により、組織吸引圧による遺伝子導入では、病態進行の程度により遺伝子発現レベルに影響が出る可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進展している。組織内遺伝子発現の空間分布評価が進んだことは治療への応用に際して予想以上の成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
組織内遺伝子発現細胞や部位の特定に関する情報は、治療戦略を考える上で有益であるため検討を進める。
|