2014 Fiscal Year Research-status Report
機能性薄膜を用いたインスリン自動放出制御システムの構築と革新的DDSへの展開
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26670083
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
小野 哲也 奥羽大学, 薬学部, 助教 (70433555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電解重合法 / 機能性薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性薄膜作製のための原料として合成した重合単量体を用いて、電解重合法により、薬物放出機能をもった薄膜の作製法について検討を行った。しかし、電解重合反応が予想よりも進行せず、薄膜中への薬物モデル化合物の取り込みや放出を確認することはできなかった。さらに、モデル化合物を分子量の大きな化合物に変更して再度検討を行ったが、結果は同様であった。 そこで、重合単量体そのものの構造を設計して重合反応を制御する研究を平行して行った。その結果、機能性物質と重合反応部位の連結部分の長さ及び官能基を変えることにより、電解重合反応の進行に変化が現れることを明らかにした。具体的には、連結部位の炭素鎖を伸長すること、また、アミド結合よりもエステル結合を利用して連結すること、この2種類の方法により、作製される薄膜の量を増加させることが可能であった。さらには、その増加量にも法則性を見出し、機能性物質と重合反応部位間をエステル結合で連結した場合は、連結部位の炭素数2~6程度においてその数と固定化量に依存性がみられ、アミド結合で連結した場合には、炭素数6~10程度の範囲においてその数と固定化量に依存性が得られた。この結果は、現在期待通りに進行していない機能性薄膜の作製を促進することが可能であることを示唆するものである。 これらの結果から、この手法を利用して重合単量体の構造を設計することで、機能性薄膜の作製をより緻密に制御できることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の材料となる重合単量体の精製が容易ではなく、当初の予定より、薬物モデル化合物を用いた実験の開始が遅れてしまった。さらに、低分子量のモデル化合物では放出制御が困難であり、期待していた結果は得られず、種々の化合物について予備的に実験を行ったことに時間を要してしまった。さらには、研究以外の業務の増加により、当初予定していたエフォートが得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な研究の推進方法には、課題応募時点と大きな変更はない。 現状、期待する結果が得られずに予備実験等に時間がかかってしまっているのは事実であるが、これに対する対応策は課題応募時に検討していたため、これら一つ一つの方策を検討していき、最適条件の探索を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、応募時の期待通りの結果が得られなかったことから、予備的実験が多くなったこと、また、業務増加により予定していたエフォートを確保できず、研究の進行が遅れていることなどから、実使用額が予定額を大きく下回ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、まずはエフォートの確保に努め、研究の進展を目指す。これにより使用する消耗品等が大幅に増加するので、研究の遅れを取り戻すと同時に、計画的に使用していく。
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