2014 Fiscal Year Research-status Report
脳血管疾患発症予測のための中心動脈循環特性プロファイリング
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26670116
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菅原 順 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (00357261)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳血管疾患 / 加齢 / 周波数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管疾患発症予測のための新規マーカーを同定を目的とする。H26年度は、中心動脈-脳循環の動的連関の評価方法(実験手法と評価手段)の確立(研究課題1)および、横断研究による中心動脈循環特性のプロファイリング(研究課題2)を行った。 研究課題1では、若年健常者30名を対象に、下半身陰圧負荷(-10~-30mmHg)を段階的に付加した際の脳循環動態をモニタリングした。大動脈圧の拍動性変動が脳循環にどのような伝播されていくのか、beat-to-beatの伝達特性を周波数解析を用いて定量評価した。その結果、陰圧負荷の増大に伴い、0.07‐0.20Hz帯域の拍動性成分のゲインが増大することが明らかとなった。この結果は、交感神経活動の増大に伴い、脳循環におけるメカニカルストレスが高まる可能性を示唆する。この成果の一部は、米国で行われた国際学会で公表(口頭発表)した。 研究課題2については、幅広い年代の健常者および脳血管疾患発症リスクを有する者を中心に、合計130名程度のデータ収集(中心動脈圧、中心動脈スティフネス、頸動脈血流動態等)を行った。現在、加齢や循環器疾患発症リスク、既往の有無などとの関連を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者のリクルートがスムーズに行えているのが最大の理由。
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Strategy for Future Research Activity |
脳循環動態の定量評価についてはTranscranial Doppler(TCD)法による中大脳動脈血流速度計測を予定していたが、高齢者などでは計測が困難な場合が少なくないため、計測の確実性が高い頸動脈血流速度を代替指標として用いることとした。TCD法による脳循環動態評価には極めて熟練した技術が不可欠であり、既存の測定装置と操作性を考えると、TCD法による中大脳動脈血流速度に比べて比較的計測が容易な頸動脈血流速度計測のほうが汎用性が高い。これまでに、両者には高い相関関係があり、代替指標として十分な精度を持つと考えられているが、両者の伝達特性など、詳細な分析を行い、生理学的な妥当性を保証したいと考えている。脳血管疾患リスク保有者のみならず、脳血管疾患の既往歴を有する者のデータ取得にも注力したい。
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Causes of Carryover |
購入した備品(空圧刺激システム)の価格が当初の予定価格よりも高くなったが、計上していた旅費の残額がそれを上回ったため。旅費の使用額が少なかったのは、国際学会の実施時期に成果発表の準備が伴わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会などでの成果発表および実験(謝金、消耗品)などで、計画的に執行していく。
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