2014 Fiscal Year Research-status Report
アセチルコリンによる細胞内受容体を介した新たなシナプス可塑性調節機構の解明
Project/Area Number |
26670129
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
工藤 麻希子 金沢医科大学, 医学部, 研究員 (50722253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益岡 尚由 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80509307)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ムスカリン受容体 / シナプス伝達長期増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らはこれまでに細胞内小器官内に発現するムスカリンM1受容体が、記憶の形成や想起に関与する海馬CA1におけるシナプス伝達長期増強(LTP)の促進に関与していることを明らかにしている。しかしながら、M1受容体の内因性リガンドであるアセチルコリンがどのように細胞内M1受容体を活性化してLTP促進に関与しているかについては未解明のままである。本研究課題では、細胞内M1受容体を介したLTP促進反応を引き起こすために必要な細胞外アセチルコリン濃度の上昇のパターンを明らかにして、細胞内M1受容体を介した新たな神経伝達機構の特性を明らかにすることを目的に研究を遂行した。実験には6-8週齢Wistar系雄性ラットから海馬スライス標本を作製し、GABAA受容体遮断薬のpicrotoxin存在下Schaffer collateralを双極タングステン電極で電気刺激することによりCA1領域の興奮性シナプス後電位(fEPSC)を観察した。また、LTPは100Hzで1秒間、高頻度刺激をすることにより誘導した。その結果、ムスカリン受容体作用薬のカルバコールでは50 nMを20 分間作用させることで十分なLTP促進効果が観察されることが確認できた。さらに、アセチルコリンを20分間、濃度を10(-7)-10(-5) Mに変化させてLTPの促進効果を観察したところ、濃度依存的にLTPが増大することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海馬CA1におけるLTP誘導条件の探索に時間がかかり、本年予定していたアセチルコリンによるLTP促進の時間依存性についての検討に着手できていないため、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
大きなトラブルなく基礎データの収集が進んでいる。今後、本年度未着手の計画分を含めて計画通り研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画に一部遅れが生じたため、使用する動物数および試薬量が当初の見積もりより少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本年度遅れた研究計画分を次年度研究計画とともに実施する予定である。したがって、次年度は繰越額を含めた全額を使用する予定である。
|