2015 Fiscal Year Research-status Report
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26670132
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 純子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30333371)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / イノシトールリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
イノシトールリン脂質(PIPs)は、グリセロールにイノシトール環と2つのアシル基が結合した構造を有する。これまでの研究では、極性基であるイノシトール環のリン酸化状態により7種類に分類し、各々のPIPsはシグナリング分子として機能することが明らかにされている。一方アシル基については、技術的な問題から解析が進んでいない。本研究では、新規のPIPs測定技術の開発と、PIPsアシル基組成を人為的に制御可能な細胞の作出を目指す。 昨年度において開発した、三種のPIP2アイソマー(PI(3,4)P2、PI(4,5)P2、PI(3,5)P2)を識別する方法は、反復分析により、標準品を用いた場合でも溶出時間のずれが生じる、あるいはピーク分離が不十分になるなど、測定が不安定であることが判明した。培養細胞における内在のPIP2アイソマー(アシル基を異にする複数の分子種が存在し、標準品を用いた解析より複雑になる)を見分けるには、測定系の不安定さは致命的である。そこで本年度は再度、PIP2アイソマーを安定して検出できる測定系の開発に取り組んだ。解析に使用する質量分析装置やカラムの種類から見直し、種々の分離条件や検出条件を比較検討した。現在、標準品のPIP2アイソマーを用いた場合ではあるが、安定して三種のPIP2アイソマーを識別できる条件を見出しつつある。今後は、細胞由来の脂質やマウス臓器由来の脂質に応用可能か否かについて解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PIP1アイソマーやPIP2アイソマーを識別する測定系の構築には時間を要すると想定していたが、少なくとも標準品のPIP2アイソマーを、安定的に識別可能な測定系の構築は完了しつつあり、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
内在性のPIP2のアイソマーを検出可能か否か解析する。また、PIP1のアイソマーを識別する方法の確立を目指す。さらに、アシル転移酵素安定発現株を用いてPIPsの分子種変動を解析するとともに、細胞応答との関連について解析する。
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Research Products
(4 results)