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2014 Fiscal Year Research-status Report

細胞膜に結合したアクチン膜骨格の超解像可視化:方法開発と機能の解明

Research Project

Project/Area Number 26670138
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

楠見 明弘  京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (50169992)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords細胞生物物理 / 1分子計測・操作 / メゾスコピック系 / 細胞骨格 / 細胞膜の動的構造
Outline of Annual Research Achievements

我々は、世界で初めて、アクチン線維と細胞膜が緊密に結合していること、それによってアクチン線維の網目が細胞膜をコンパートメント化していることを見出し、アクチン膜骨格と名付け、生物学的意義を明らかにしてきた。これを出発点として、最近では、様々な文脈で、アクチン膜骨格が細胞膜分子の相互作用・局在・機能を制御していることが明らかにされつつある。
しかし、アクチン膜骨格の生細胞での可視化には誰も成功していない。我々は最近EBP50分子が、細胞質からアクチン膜骨格と受容体の結合部位に頻繁にリクルートされてくることを見出した。本研究の目的は、この現象を利用し、(1)生細胞中でのアクチン膜骨格を可視化し、(2)シグナル変換への関与を解明し、(3)アクチン膜骨格―細胞膜結合部位の中でも、シグナル変換のホットスポットとなっている部位を同定して、シグナル変換におけるアクチン膜骨格の機能を解明する、ことである。
本年度は、まず、生細胞中で、EBP50が、細胞質から細胞膜の細胞質側表面へとリクルートされ、さらに、その付近で拡散した後、アクチン膜骨格に結合して静止する過程、さらに、アクチン膜骨格へと細胞質から直接してくる過程を観察した。このうち、拡散運動した後に静止するのが全反射蛍光観察で同じ程度のシグナル強度で検出できるEBP50分子は、細胞膜とアクチン膜骨格の両方に結合したか、あるいは、細胞膜からの距離が〜10ナノメートル以内にあるアクチン膜骨格に結合したものと考えられた。
さらに、拡散していた分子が静止して、再度拡散しはじめるようなときに、静止したかどうかを捉えるソフトウェアとパラメータに工夫を加え、今までよりさらに短い静止(一時停留)でも捉えられるようになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究は順調に進行しており、ほぼ予定通りのペースで進んでいる。
(1)EBP50とタグタンパク質Haloの融合タンパク質を数種類の繊維芽細胞内に発現させ、Haloタンパク質をHaloリガンドで蛍光標識した。蛍光分子としては、R110とテトラメチルローダミン(TMR)を用いた。全反射蛍光観察で、底面の細胞膜に蛍光分子が0.5~1コピー/平方ミクロン存在するように発現量を調節した。本研究室で作製した世界をリードする1分子蛍光観察ステーションを用い、EBP50の各分子が、細胞質から細胞膜とその細胞質側表面に存在するアクチン膜骨格にリクルートされる様子を1分子レベルで観察した。
(2)1分子観察の結果、2つの過程で、EBP50 分子が、細胞膜の細胞質側表面近傍にリクルートされることが分かった。第一の過程は、細胞質から細胞膜の細胞質側表面へとリクルートされ(何らかの膜分子に結合して)、しばらく拡散運動した後にアクチン膜骨格に結合して静止するという過程、第二の過程は、細胞質から細胞膜の細胞質表面から数10ナノメートルの範囲にあるコーティカルアクチンに直接結合してくるものである。本研究では、細胞膜に結合しているアクチン線維を見いだしたいので、前者のような挙動を示すEBP50分子の挙動のみを解析することにした。
(3)一時停留時間が、想定以上に短いものが多いことが分かってきた。そこで、一時停留を検出するソフトウェアを改善し、また、パラメータに工夫を加え、拡散していた分子が静止して、再度拡散しはじめるようなときに、0.1秒程度の時間の一時停留でも捉えることができるようにした。その結果、アクチン膜骨格と細胞膜の内側表面の結合部位(以下では、“コネクター部位”と呼ぶ)が20ナノメートル精度で超解像マッピングできるようになった。

Strategy for Future Research Activity

本年度の結果に基づき、シグナル変換を活発におこなっているコネクター部位(アクチン膜骨格と細胞膜の内側表面の結合部位)を可視化し、さらに、そこでのシグナル変換におけるアクチン線維の機能を解明すること、が次の目標である。これらの研究は以下のように進める。
(1)EBP50が次々とやってきて、(一時)静止するホットスポットを検出する。分子動態に加え、ホットスポットの分布、他の膜上の構造(接着斑、カベオラ、クラスリン被覆ピット、細胞間接着部位)や受容体との相互作用を解明する
(2)EBP50と結合する細胞膜上のチャネルや受容体が、どのようにホットスポットに来るかを、刺激前後で比較し、シグナル変換を活発に行っているコネクター部位を検出する。EBP50と結合する細胞膜上のチャネルや受容体を、2色同時1分子観察し、EBP50のホットスポットにリクルートされる様子を明らかにする。特に、刺激後のリクルートを徹底的に調べる。また、EBP50と脂質アンカー型の細胞内にタンパク質部分が存在するタンパク質(例えば、RasやLynなど)、あるいは、膜貫通型タンパク質との融合タンパク質を細胞膜上に発現させ、それらのタンパク質の一時静止部位のマッピングによってアクチン膜骨格を可視化すると同時に、それらの分子と受容体やチャネル分子との相互作用を明らかにする。
(3)我々の最近の研究で、多くのシグナル系で、刺激入力後に、シグナル分子複合体がアクチン膜骨格に結合したり、複合体が基盤となって、アクチン重合を誘導したりすることが分かってきた。そこで、シグナル変換におけるアクチン膜骨格の機能解明を進める。具体的には、アクチン線維に結合し得る、FAKキナーゼ、talin、PIP5Kなどの、多くの過程で鍵となるような重要分子のEBP50ホットスポットやラッフリング膜へのリクルートを調べ、そこでの機能を解明する。

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Published: 2016-05-27  

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