2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670139
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 英一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362528)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 転写 / 炎症 / ペプチダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ナルディライジン(NRDc)というメタロエンドペプチダーゼが広範な膜タンパク質の細胞外ドメインシェディングの増強因子であること、シェディング増強作用はペプチダーゼ活性に依存しないことを報告してきた。一方我々は、NRDcが核に移行し修飾特異的にヒストンH3に結合し、特定遺伝子の転写を制御することも明らかにした。興味深いことに、NRDcの転写調節活性の少なくとも一部は、ペプチダーゼ活性に依存していた。これまでヒストンH3 tailのタンパク分解が転写制御に関わるという報告は散見されるが、その詳細は不明であり、個体レベルにおける意義は全くわかっていない。NRDc欠損マウスは、複数の炎症疾患モデルで顕著な炎症抵抗性を呈しており、本研究はNRDcが転写調節因子としていかに炎症制御に関わっているか、とりわけNRDcの酵素活性が果たす役割をすべく計画した。当初の研究計画通り、初年度に野生型あるいは不活性型NRDcを再導入したMEF細胞(NRDc-/-*WT、NRDc-/-*E>A細胞)の作製、クロマチン免疫沈降(ChIP)に使用可能な抗体を得ることに成功し、最終年度にはこれらを用いて、ChIP, RNAシーケンスを行い、NRDcの標的遺伝子を網羅的に同定することに成功した。また、いくつかの標的遺伝子の転写制御が、NRDcの酵素活性依存的に制御されていることが示唆された。一方個体レベルの炎症疾患モデルとして、1) デキストラン硫酸ナトリウム経口投与による炎症性腸疾患モデル、2) 高脂肪食負荷によるメタボリックシンドロームモデル(nullマウスで白色脂肪組織における炎症細胞浸潤の減少)、3)コリン欠乏食および高脂肪食負荷による非アルコール性脂肪肝(NASH)モデル(nullマウスで肝臓線維化の減少)において、NRDc欠損による炎症の軽減を認め、さらに関節リウマチモデル(SKGマウスとの交配)において、NRDc欠損マウスが顕著な関節炎の減弱を呈することを明らかにした。
|