2014 Fiscal Year Research-status Report
性行動を司る視床下部腹内側核内転写ネットワークの解明
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26670145
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋 雄一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80425420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視床下部 / ニューロン / トランスジェニックマウス / トランスクリプトーム / クロマチン免疫沈降 |
Outline of Annual Research Achievements |
視床下部腹内側核(Ventromedial Hypothalamic Nucleus, VMH)における遺伝子発現の性差を明らかにするために、申請者が作出したVMH特異的EGFP発現マウスからEGFP発現細胞(ニューロン)を単離する実験条件の検討を行った。コラゲナーゼを用いた細胞解離を試したところ、解離後の培養液中にEGFP陽性細胞がほとんど観察されなかった。おそらく、解離操作中に断裂した軸索の断面からEGFPが細胞外へ漏出してしまったためと考えられた。そこで、他の神経核を用いた過去の報告を参考に、パパインを用いたより穏和な細胞解離条件を検討中である。しかしながら、現段階では効率よくVMHニューロンを解離する条件を決定できていない。また、回収できるEGFP陽性ニューロンの数が非常に少ないため、セルソーティングを用いた回収は困難であり、蛍光顕微鏡観察下にマウスピースとグラスピペットを用いて細胞を回収する必要があると考えられた。 回収できる細胞の数が少ないことが予想されるため、RNA発現プロファイル解析のためのmRNA-sequence解析に関して、通常のプロトコールでは不可能であり、極微量のRNAに対する解析方法を用いる必要があると考えられた。そこで、Quartz-sequenceと呼ばれる、細胞数個~数十個から解析が可能な方法を用いることとし、実験条件の検討のために、既にRNA発現プロファイルが明らかになっている細胞50個を用いて、実験データの再現性の確認を行っている。 Ad4BP-tagマウス作成のために、CRISPR-Cas9を用いたゲノム編集技術を応用することとし、ガイドRNAを設計し、培養細胞を用いて部位特異的組み替え効率の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子発現解析のための細胞単離が予想以上に困難であり、実験条件の決定に時間を要している。過去の報告をもとに条件検討を行ってきたが、効率良い回収が困難であったことから、神経細胞単離の経験のある研究者を訪問し、実地で回収方法を見学し、さらに条件の改良を進めている。 当初の見積もりよりはるかに少ない細胞数しか回収できないことが予想されるため、細胞数十個から解析が可能なQuartz-sequence法を用いることとし、実験条件の検討を行うとともに、既に遺伝子発現プロファイルの明らかな細胞をコントロールとして用いた再現性の確認実験を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
VMHニューロンの単離条件の検討を進める。既に効率は悪いながらも少数の細胞を回収できる段階に達していることから、今後は回収効率の向上を目指してさらに改良する。しかしながら、条件の改良によって劇的な効率改善は見込めないという印象があることから、可能な範囲で最も効率の良い条件が決定できれば、ただちに遺伝子発現プロファイル解析に移行する。 少数の細胞を用いたQuartz-sequence法の条件検討と、再現性確認実験を進め、実際の解析に用いる目処がついたところで、VMHニューロンを用いた解析を開始する。遺伝子発現プロファイルの正確な解析のために、可能な限り多数の細胞を用意して解析に用いることとする。雌雄のVMHニューロンをそれぞれ単離し、遺伝子発現プロファイルを明らかにするとともに、雌雄差を明らかにする。 VMHニューロンにおけるAd4BP/SF-1の標的遺伝子を明らかにするために、Ad4BP-tagマウスを作出する。このまうすにおいては、Creによる組み替えによりAd4BP/SF-1のC末端にHAタグが付加されたタンパクが発現する。このマウスの作出には、CRISPR-Cas9システムを用いることとし、既に設計したガイドRNAが目的部位特異的に組み替えを起こすか否かを検討する。目的部位の組み替えが確認できれば、マウスの受精卵の前核に、挿入するDNA断片とともにインジェクションを行い、目的部位への挿入をPCRやダイレクトシークエンスにより確認する。 既に作出したVMH特異的CreマウスとAd4BPタグマウスを交配し、VMHを用いたクロマチン免疫沈降を行うことにより、雌雄それぞれにおけるAd4BPの標的遺伝子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
目的の実験材料(細胞)を調製するための実験条件の検討に時間を要したため、予定していらmRNA-sequence解析を行えなかった。そのために、次年度に研究費の一部を繰り越し、mRNA-sequence解析のための費用にあてることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
mRNA-sequenece解析に予定していた研究費を次年度使用として繰り越したため、これを用いて当初の計画通りmRNA-sequence解析を行う。その他の使用計画に関しては、当初の予定通りに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Glycolytic genes are targets of the nuclear receptor Ad4BP/SF-12014
Author(s)
15.Baba T, Otake H, Sato T, Miyabayashi K, Shishido Y, Wang CY, Shima Y, Kimura H, Yagi M, Ishihara Y, Hino S, Ogawa H, Nakao M, Yamazaki T, Kang D, Ohkawa Y, Suyama M, Chung BC, Morohashi KI
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 14
Pages: 3634
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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