2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670161
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
早川 裕子 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (80626929)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / IL-33 / 分泌型ST2 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターロイキン-33(IL-33)は、アレルギー亢進作用を持つサイトカインであり、IL-1ファミリーに属する。新規リンパ球・ナチ ュラルヘルパー細胞(NH細胞、別名:2型自然リンパ球, ILC2)は、IL-33刺激により活性化され、喘息の発症に関与することが示唆されている。申請者は、以前の研究において、IL-33とIL-33受容体の結合を阻害する抑制因子・分泌型ST2を見出した。その特性から、分泌型ST2には、NH細胞が関連するアレルギー反応を防ぐ作用があるものと考えられた。本研究は、肺NH細胞および喘息モデルマウスを用いて、分泌型ST2のアレルギー反応抑制作用を明らかにすることを目的としている。平成26年度のin vitro実験において、分泌型ST2が、IL-33作用を抑え、NH細胞の活性化抑制に有用なデコイ受容体として機能することを明らかにした。平成27年度は、精製した分泌型ST2を喘息モデルマウスに投与し、喘息病態に対する効果を調べた。対照群の喘息モデルマウスにはPBSを投与した。分泌型ST2投与群では、PBS投与群と比較して、1)肺胞洗浄液(BALF)中の好酸球数、2)BALFおよび血清Th2サイトカイン濃度、3)気道炎症、などに減弱が認められた。以上の結果は、分泌型ST2に喘息病態を悪化させるアレルギー反応を抑制する効果があることを示唆している。今後は、喘息モデルマウスの肺NH細胞について評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の計画案通り、分泌型ST2を喘息モデルマウスに投与し、喘息病態について肺や血清を中心に調べた。しかしながら、年度途中の飼育施設の利用制限により、喘息モデルの作製に遅れが生じた。そのため、喘息モデルマウスの肺NH細胞についての解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに、分泌型ST2を喘息モデルマウスに投与する治療的実験により、分泌型ST2が喘息病態を悪化させるアレルギー反応に対して抑制効果を示すことを明らかにした。しかしながら、IL-33に応答してアレルギー反応を誘導する肺NH細胞の活性化については明らかになっていない。そこで平成28年度は、分泌型ST2を投与した喘息モデルマウスにおいて、肺NH細胞の活性化が抑制されているかをフローサイトメトリー法により明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度は研究計画の70%程度は終了したが、喘息モデルマウスの肺NH細胞の解析が遅れているため、次年度への期間延長が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、喘息モデルマウスを中心にした解析を行うため、マウスの購入費と維持費に使用する。また、喘息モデルマウスのNH細胞の解析をフローサイトメトリー法により調べるため、細胞調製の試薬および抗体の購入費に使用する。加えて、平成28年度の研究成果を論文発表することを予定しており、英文校閲費などにも使用する予定である。
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