2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴山 竜昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00303842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽賀 博典 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10252462)
宮川 文 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90432385)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 質量分析 / 病理組織 / イメージング / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓組織を用いて、タンパク質由来のペプチドのイオン化効率を抑制している機構の可能性が示唆されたため、この機構の解除をすることにある程度の成功をおさめた。2,5-dihydroxybenzoic acid (DHB)を標本表面上に結晶化を行う際に、島津製作所製MALDI-7090を用いたMS/MSによるマウス心臓の質量分析イメージングを行い、本研究で同定した塩類の存在下でイメージング画像を得た。具体的には二価の陰イオンの存在でイオンサプレッションが抑えられていたと考えられる。しかしシグナルは弱くシグナルノイズ比は低かったため、ある塩類を加えることでピークの解像度がある程度改善すると同時に、シグナル強度が劇的に強く高くなり、シグナルノイズ比も増加した。一方で標本上で、新たに化学反応も起こしている可能性があり、スペクトラムが乱れ、MS/MSによるタンパク質の同定はいまだ限られている。現在別の塩類の存在下ではピークの解像度が改善されつつあり、一定のシグナルノイズ比が十分得られ、心室のイメージが光学的観察時と最も良く一致し、組織上の化学反応も起こしていないことが示唆された。アミンとペプチドの関係についてもイオン化を促進している可能性が考えられた。以上、イオン化の基礎理論にまでふみこんで検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質量分析用顕微鏡標本の前処理の過程における表面処理、親水化過程の改善により最適化および画像イメージングの改善に成功した。表面処理反応のプロトコールはほぼ確立され、安定したイオン化効率が得られるとともに、併用しているペプチドのイオン化のためのレーザの周波数の改善により、画像の解析度が大きく改善した。さらに顕微鏡標本上のマトリックス結晶の観察を世界で始めて大気圧顕微鏡で系統的に行い、針状結晶の観察に成功した。 上に加えて現在、分析化学的な観点から、組織上のイオン化効率の抑制効果を来すあらたな機構の存在が示唆され、これを解除する方法を開発しつつあり、イオン化効率および、バイオマーカー局在に障害となるノイズの減退方法の開発に、ある塩類が効果的であることをつきとめた。これによりピークの解像度が改善されつつありMS/MSによる複数のタンパク質の同定が可能となってきている。おそらく、イオン化されるペプチドの標本の表面反応の溶解度の増加にもこれらの塩は貢献していると思われる。凍結標本だけではなく、ホルマリン固定標本においても安定したイオン化効率によるペプチド分布のイメージ化および、心筋のバイオマーカー探索が28年度中に可能となることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①顕微鏡組織表面の結晶化の様子はマウス心臓モデルとヒト心臓の双方を用いて電子顕微鏡を用いて確認をしながら最適なマトリックスの選定を行う。最適なマトリックスの選択のために各種塩を加えることでイオン化の効率によるシグナルノイズ比の高め、質量分析イメージングの解像度の改善を行う。 ②イオン化効率の増加に関わる基礎的な検証がすすみつつあり、タンパク質の立体構造の変化が効率の決定因子であることを確認していき、適切なイオン化支援薬をマトリクスの選別とあわせすすめていく。この実験により様々な化学反応の詳細を予想するデータが得られ、更なる解析に繋がる予定である。現在、血流を反映するヘモグロビンのサブセットの二次元分布もイメージ化に成功しており、心筋梗塞の組織学的変化との照合により病変マーカーを同定することを進める。 ③得られたバイオバーカーの抗体を用いて免疫組織化学を実施し、イメージングの結果と照合させることでデータの妥当性を検証する。加えて患者の血漿サンプルが手に入る場合は、ウェスタンブロットを実施し、患者、健常者での末梢血濃度の差異の検証をすすめ、診断用バイマーカーとしての有用性を判断していく。
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