2015 Fiscal Year Research-status Report
胃癌におけるクロマチンリモデリング因子異常とそれら諸因子の機能の解明
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26670180
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宇於崎 宏 帝京大学, 医学部, 教授 (10296246)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胃癌 / クロマチンリモデリング因子 / エピジェネティクス / 免疫組織化学的染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
600例の胃癌のティシューアレイを構築し、クロマチンリモデリング因子の構成要素のうち、ARID1A, ARID1B, ARID2の発現と胃癌の進展の関連を明らかにし、論文として発表した。良性腫瘍である胃腺腫でのARIDの発現解析結果は興味深く、胃癌と非腫瘍組織との中間的な発現状態であった。癌の中でも深達度に対応して、3つのARIDの異常が増える傾向が明らかになった。3つのARIDの異常は相互に関連があり、それらに共通するメカニズムが想定された。3つのARIDの異常はいずれもhMLH1発現低下との関連があり、MSIとの関連が示唆された。p53蛋白の発現異常との関連は見られなかった。EBウイルス感染との関連はARID1Aのみであった。培養系での実験で5Azaによる脱メチル化後、ARIDの発現が増え、ARIDの発現異常にメチル化も関与していることが示唆された。引き続き、胃癌でのSMARCC1, PB1, BRG1の発現の意義をまとめている。各種癌で他のSWI/SNFファミリー遺伝子変異の報告は少ないことから、現在、対象を他のクロマチン関連蛋白に広げて、検索を進めている。 また、培養細胞系では、ARID1A/1B/2のsiRNAによる抑制が増殖率、浸潤能にもたらす影響を検討したが、これまでのところ、有意な違いは得られていない。5Azaによる脱メチル化がもたらす影響は、細胞傷害も加わっており、発現以外の変化を得るには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃癌検体を用いた組織研究では、免疫組織化学的検索を順次進めており、着実に結果を得ている。一方で、培養細胞系での研究はARIDの遺伝子を抑制するところは終えているが、その結果引き起こされる影響の解析を慎重に進めている。これまでのところ、影響が明らかでないが、手技による偽陰性である可能性を含め、再検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の開始時の計画に変更は無い。 組織研究は引き続き、クロマチン関連蛋白を検索し、これまでに得られたクロマチンリモデリング因子の結果と比較することで、胃癌発癌・進展における役割を明らかにしていく。また、培養系での機能解析も最終年度として結果を得られるよう、注意深く進める。
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Causes of Carryover |
論文発表に向けて、これまで得られた結果の見直し、再検討を行っていたため、組織研究の進行が少し遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検索に使用する抗体は選別が進んでおり、早期に発注して、研究を進める予定である。
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