2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670187
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
椙村 春彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00196742)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アダクトーム / DNA付加体 / アダクトミクス / 遺伝子多型 / 遺伝環境相関 / 肺がん / 胃がん |
Outline of Annual Research Achievements |
多種類のヒト組織、とくに剖検例の胃粘膜、肺組織、大腸粘膜、肝臓組織などいずれも、腫瘍などがそこには存在しない組織のDNAを抽出し、加水分解したあとに、Tandem Mass Spectromtery/Liquid Chromatography によりDNAの塩基部分の修飾を同定した。剖検例では、臨床的なアルコール歴、喫煙歴を項目として比較した。また、主に腫瘍によって切除された胃がん、大腸がん、肝がん、肺がんの非腫瘍部の組織を同様の方法でDNAの塩基修飾の検出をした。検出系としては、m/z, liquid chromatography のretention timeなどから、既知の標準物質に相応するものとして174種を文献から同定した。そのうち、lipid peroxidation由来のものや、hmCの由来酸化物などは、isotopicな標準品も準備しており、より定量的な評価ができた。 胃粘膜や大腸粘膜からの組織の採取にあたっては、field cancerizationを念頭におき、腫瘍からの距離により、一例あたり複数の試料を採取した。また、採取量がどのくらいあれば、ここでいうアダクトーム測定が可能になるかの検証のために、ヒト胃生検材料についても検出を試みた。 これらの結果から、次のことが明らかになった。1. 喫煙関連がんとそうでないがんの肺組織で、異なったDNA付加体がみられる。 2. 喫煙者の扁平上皮がん例と腺癌例の非腫瘍部ではDNA付加体の種類が異なる。 3. 胃粘膜で、腫瘍に近い方に多く見られるDNA付加体がある。 4. Ex-smoker におけるDNA付加体をみると、肺がん例ではむしろ喫煙者の肺みみられるものに近く、胃粘膜では非喫煙者の粘膜にみられるものに近い。
|