2014 Fiscal Year Research-status Report
成熟心筋を細胞周期に再入させることによる心筋再生の基礎的研究
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26670189
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
橋詰 令太郎 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50456662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 垂歩 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00391946) [Withdrawn]
下條 尚志 三重大学, 医学部, 技術員 (70410751)
高成 広起 大分大学, 医学部, 助教 (70723253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心筋再生 / 細胞分裂 / 細胞質分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は主として、哺乳類の心筋細胞の細胞周期の理解から、内因性心筋再生の可能性を探究するものである。単離培養ラット心筋を用いた実験系を用い、チミジンアナログを用いたDNA合成モニタリング下においてp38 MAPK抑制剤添加が、無添加コントロール群と比し、DNA合成を促進し、殊にDNA合成が行われた1核心筋細胞を有意に増加させる結果を得た。単離培養細胞を用いた蛍光免疫染色の共焦点顕微鏡検鏡での評価では、細胞質分裂の初期に動員されるPLK1が、DNA合成が行われた分裂後の一核心筋細胞では発現している一方、DNA合成が行われた二核化心筋細胞では発現しておらず、二核化し細胞質分裂の行われない心筋となるか、細胞質分裂を完遂して2つの一核心筋細胞となるかは、初期の時点で運命決定がなされていることが示唆された。また、心筋細胞が分裂する際は、サルコメアの構造的消失が必要であるも、分子レベルでは構成分子は細胞質に残存している事が明らかとなった。 細胞質分裂に与るaurora B蛋白、核膜中間径フィラメント(lamin、LAP)の発現は固定細胞観察では、細胞分裂動態において差異は指摘出来なかった。以上の培養細胞の固定後解析では、個々の心筋細胞の前後の時相の状態の把握が困難であり、すなわち個々の細胞が観察時点以前にどのような挙動を示したのか、あるいはまた観察時点以後にいかなる細胞周期の状態を辿るのかは把握出来ない。この問題を克服するために、live cell imagingの手法を開始した。レンチウイルスシステムを使用して、細胞核を可視化する方法を確立した。現在、心筋特異的なプロモーターを用いてベクターを構築し、細胞内蛋白の時空間的な解析を培養細胞の実験系で行っている。これらの実験は、当該施設において動物実験審査および組換えDNA実験計画の申請・承認を経て行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の実験系の確立がなされ、殊に単離心筋細胞を一核のまま分裂促進させる系および二核化させる系が確立されたことは、解析する土台の提供という観点から重要な達成点であった。in vitroの実験系に用いる心筋細胞の動物種として、当初はマウス心筋の使用を試みたが、細胞生存率が不良であるため、代わりに動物種としてラットを採用し、近交系ラットの飼育を動物実験施設にて開始し、計画的な繁殖法の確立、胎仔(E15.5)および生後1~28日の個体からの心筋細胞単離法の確立、ならびに条件別の心筋細胞培養法の確立を行った。また、固定培養細胞の免疫組織学的解析、および単離された一核ならびに二核心筋細胞の透過型電子顕微鏡撮像がなされ、live cell imagingによる解析が開始された。以上の次第であり、これまでの研究進捗はおおむね良好であると言うべきである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においても引き続きlive cell imagingを、ラットより採取した初代培養心筋細胞を用い行い、種々の蛋白質発現ベクターを作製の上、細胞質分裂を中心とした解析を行う予定である。加えて、一核および二核心筋細胞における電気生理学的差異を探究し、二核化の意義についても探究する。また、胎仔(E15.5)および生後1~28日の各時相の心臓組織は既に採取してあり、プロテオミクス解析を続行する。なお、今後はlive cell imagingが研究の首座を占める可能性が高く、個別のベクターを作製しなければならないこと、個々のベクターで組換えDNA実験計画の承認を得る必要があることから、進捗はやや緩慢となることが揣摩される。
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Causes of Carryover |
当該年度の実費出額の累計額が、必要である消耗品経費の総計以下であった理由は、旅費を請求しなかったことに加えて、ラットの動物飼育管理費(当該動物実験施設からの請求額)が当初の見込みよりも少額であったことに起因する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究経費を最大限有効に活用するため、当該金員は次年度物品費として使用する。
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