2015 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫ゲノムに対する抗マラリア薬の変異原性リスク評価と突然変異導入機序
Project/Area Number |
26670205
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
狩野 俊吾 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (50648409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 加奈子 (駒木加奈子) 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 室長 (50415551)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗マラリア薬 / 変異原性 / シャトルベクター / コメットアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に抗マラリア薬クロロキン(CQ)暴露による突然変異頻度とDNA損傷への影響を調べた。 まずシャトルベクターをエピソーマルに保持するトランスジェニック原虫に対しCQ30nMを含む培地で48時間の暴露を行いシャトルベクターを回収、大腸菌の系に戻して突然変異頻度を測定した。対照群はCQを含まない培地で培養した原虫を用いた。結果、対照群の突然変異頻度 6.1±1.8 x 10(-7)に対し、CQ処理群は46.0±15.6 x 10(-7)と約7.5倍の上昇が確認された。変異レポーターrpsL上の変異スペクトルは、CQ処理群では一塩基置換変異(217A>C)ならびに167bpの欠損変異が対照群と比べ有意に上昇していた。しかし再現実験では突然変異頻度は試行毎に異なり、時として対照群の方が高い突然変異頻度を呈する場合もあった。 次に抗マラリア薬への暴露によるマラリア原虫のDNA損傷をコメットアッセイにより調べた。熱帯熱マラリア株FCR3トロフォゾイト期に対しCQ濃度0, 30, 300, 3,000nM, 4時間の処理をし、直ちに洗浄後コメットアッセイを行ったところ、300nM, 3,000nM処理群において明瞭なDNA損傷が確認された一方、0, 30nM処理群では差はなかった。CQ4時間の暴露100nM程度までの濃度では細胞毒性を示さないが300-500nMに至ると約30%の成長阻害率を示すことが知られており(Yanou et al. 1983; Ch'ng et al. 2010; 2011; 2014)、また修復酵素hOGG1とコメットアッセイを組み合わせた予備実験では酸化損傷がCQ30nMの暴露で検出されたので、CQ暴露によるDNA損傷と突然変異頻度の相関を調べるためにはCQ30-300nMの範囲を精査していけば良いことがわかった。
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