2015 Fiscal Year Annual Research Report
原始クラミジアが共生するアメーバは何故レジオネラの感染から回避できるのか
Project/Area Number |
26670206
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 博之 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40221650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 眞二 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40207882)
松尾 淳司 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (50359486)
芳賀 早苗 北海道大学, 保健科学研究院, 研究員 (60706505)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共生 / 原始的なクラミジア / アメーバ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然環境に広く生息するアカントアメーバ(以下アメーバ)の約10%程度に難培養性細菌が共生する。それに関連して私達は、自然環境に広く分布するアメーバの天敵ともいえるレジオネラ(Legionella)の感染から身を守るために難培養性細菌(Neochlamydia S13)が共生するアメーバを発見した(Ishida et al., PLoS ONE, 2014)。レジオネラは細胞壁から突き出た2種類の分泌装置(T4ASSとT4BSS)から様々なエフェクター分子を宿主アメーバへと打ち込むことでレジオネラの増殖環境の最適化を行っているので、これら分泌装置やそれらエフェクター分子はNeochlamydia S13が、レジオネラ撃退現象を惹起する上で、重要な誘引物質と考えられた。そこで2D-PAGEを用いたプロテオーム解析やNeochlamydiaのドラフトゲノム配列をもとに構築したDNAマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析を用いて、共生細菌を介したアメーバのレジオネラの撃退機構に関わる分子基盤を明らかにために本研究を実施した。その結果、Neochlamydia S13が、宿主アメーバのアクチンの再構築を修飾することで、このレジオネラ撃退現象が誘導されていることを見出した。その過程でNeochlamydia S13がレジオネラのT4ASS分子群を感知し、撃退現象が誘導されることも発見した。さらにその菌体側責任分子候補として、セリンスレオニンキナーゼをコードするキメラ様遺伝子(peg2639)が同定された。これらの研究成果は、このアメーバで見られるレジオネラ撃退現象を解明する上で極めて有用な成果であると考えられ、細胞内から病原体を排除する新たな概念を導き出す可能性を秘めている。
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Research Products
(13 results)