2014 Fiscal Year Research-status Report
腸管出血性大腸菌の病原性評価に有用な絶対嫌気バイオロジーの確立
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26670208
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清水 健 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70312840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱端 崇 独立行政法人国立国際医療研究センター, 感染症制御研究部, 室長 (40311427)
野田 公俊 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 志賀毒素 / 病原性 / 嫌気性 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管が感染部位である病原細菌では絶対嫌気環境での病原性、および抵抗性の評価が重要であることは容易に理解される。しかしながら、そのことを確認するための方法論の限界や実験の困難さによって、ほとんど行われていない。そこで我々はマウスでの病原性を評価した複数の腸管出血性大腸菌(EHEC)株を用いて、絶対嫌気環境での増殖性、薬剤感受性、毒素産生性、抵抗性、遺伝子発現性などを嫌気チャンバーを用いて明らかにし、各々の項目の変動とマウスでの病原性との関連を菌株ごとに比較した。 まず、10株の腸管出血性大腸菌を用いて好気条件と嫌気条件での増殖性、志賀毒素の産生性、活性酸素種に対する抵抗性、抗生物質に対する感受性、抗生物質による志賀毒素産生促進効果などを明らかにし、それぞれを比較した。その結果、ある特定のEHEC株は好気性でも嫌気性でも他のEHEC株よりも増殖が遅かった。志賀毒素の産生性に関しては好気性でも嫌気性でも産生量が多いものはどちらの条件でも多く、少ないものはどちらの条件でも少なかった。嫌気条件で大幅に毒素の産生量が増加した菌株は無かった。活性酸素種のうちの一つである一酸化窒素に対する抵抗性は嫌気条件では完全型一酸化窒素還元酵素に依存していた。抗生物質に対する感受性は10株すべてで嫌気状態の方が多少効果があった。また、1/8MICにおける志賀毒素産生増強を見たところ、嫌気状態ではカルベニシリンとホスホマイシンによって志賀毒素2の産生が大幅に増強している菌株が存在した。このようにとりあえず当初確認することを考えていた検査項目は一通り好気条件と嫌気条件で行った。 今後はこれら10株の腸管出血性大腸菌(EHEC)の病原性を特定するために、マウスを用いた感染実験を行う。これによって、病原性と相関がある嫌気条件での検査項目が明らかになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10株の腸管出血性大腸菌の嫌気性と好気性でのそれぞれの性状に関して、ほぼ解析が終わっている。
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Strategy for Future Research Activity |
10株の腸管出血性大腸菌のマウスでの病原性を決定し、その病原性の強さと相関のある嫌気条件下での項目を探すことをおこなう。そして、相関のある項目が本当に病原性に関与しているか変異株を作成して確認する。
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Causes of Carryover |
論文投稿費として考えていたものだが、昨年度では論文投稿ができていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に論文投稿を行う予定なので、その時の論文投稿費として使用する。
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