2015 Fiscal Year Research-status Report
腸管出血性大腸菌の病原性評価に有用な絶対嫌気バイオロジーの確立
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26670208
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清水 健 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70312840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱端 崇 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 感染症制御部, 細菌感染研究室長 (40311427)
野田 公俊 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 病原性 / 嫌気条件 / 動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度解析したEHEC O157株の病原性を明らかにするために、マウスを用いた致死活性で評価した。EHEC O157はヒトに対して、非常に少ない菌数で病気を起こすことが知られている。しかしながら、マウスに対しては大量のEHEC O157を経口的に投与しても発症することが無い。そこで、何かしらの処置をしてマウスを少し弱らせて実験する必要がある。今回、我々はPCMの系を用いて行った。このPCMの系とはマウスにストレプトマイシンの入った水を飲ませておき、マウス腸管内の菌を排除しておく、そこにストレプトマイシン耐性のEHEC O157を経口的に投与して、マウスの様子を観察する。この方法では本来EHEC O157では発症しない個体であったも、腸内フローラが万全でないマウスでは発症し、その程度によって死亡する。その致死に至った過程を観察することによって、それぞれのEHEC O157の病原性の強さを評価した。 その結果、10株のEHEC O157に1010 個の菌を投与したところ、C1, C13, C18のEHEC O157株で死亡が観察されました。それ以外のEHEC O157では死亡例は観察されませんでした。これらのことから、C1, C13, C18のEHEC O157株は他のEHEC O157よりも病原性が強いことが考えられました。しかしながら、これらの結果と嫌気状態での増殖性、志賀毒素の産生性、活性酸素種に対する抵抗性、抗生物質に対する感受性、抗生物質による志賀毒素産生促進効果に相関はありませんでした。残念ながら、今回調べた検査項目ではEHEC O157のマウスに対する病原性と対応するものはなかったと思われます。今後はさらに検査項目を増やすことによって、病原性と相関する検査項目を明らかにし、病原性発現機構を明らかにして行きたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の想定は腸管出血性大腸菌の感染部位は腸管内なので、腸管出血性大腸菌の嫌気条件での検査項目の結果とマウスに対する病原性との間の相関を求めるものであった。このことはこの2年間の実験によって、明らかに出来た。このことは当初の目的を概ね達成できたと考えている。しかしながら、これらの結果を詳細に検討したが相関のある検査項目は見つからなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、嫌気状態での各々のEHEC O157の性状を明らかにして、病原性と相関のある項目を探す。
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Causes of Carryover |
本研究は研究代表者が行う嫌気条件での各々の腸管出血性大腸菌(EHEC)の性状解析と研究分担者が担当しているマウスを用いたそれらのEHECの病原性解析が含まれるが、予想以上にEHECを用いた動物実験に時間が掛かっており、来年度まで行うことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EHECの病原性を評価するためにマウスを用いた動物実験を行う。
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Research Products
(6 results)