2015 Fiscal Year Annual Research Report
メンブレンベジクルを介した薬剤耐性遺伝子の高効率伝達・転移機構の解明
Project/Area Number |
26670211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒川 宜親 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10212622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和知野 純一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (00535651)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メンブレンベシクル |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌が産生するメンブレンベシクルにはDNA、RNA、タンパク質等の成分が含まれていることが分かっている。本研究では、多剤耐性菌が産生するメンブレンベシクルが、薬剤耐性遺伝子の伝播・拡散に関与する可能性について検討を行った。 多剤耐性臨床分離Acinetobacter baumanniiを液体培養し、培養上清からベシクル成分を回収した。密度勾配遠心法とゲルろ過カラムを用いて精製作業を行った。電子顕微鏡を用いて、ベシクルの有無の確認を行った。精製した成分を薬剤感性A. baumanniiと混和し、多剤耐性臨床分離A. baumanniiが持つ薬剤耐性遺伝子を、薬剤感性A. baumanniiに導入する実験を行った。その結果、各種の薬剤耐性遺伝子を、多剤耐性臨床分離A. baumanniiから薬剤感性A. baumanniiに移すことができた。次世代シークエンサーを用いたゲノム解析により、多剤耐性臨床分離A. baumannii由来の薬剤耐性遺伝子は、相同組換え機構により、薬剤感性A. baumanniiのchromosomal DNAに挿入されている可能性が示唆された。 さらに、由来の異なる複数株からベシクル成分を抽出し、上述の実験を行った。その結果、多剤耐性A. baumanniiの中でも、International clone IIと呼ばれる多剤耐性流行株をDNA供与株として用いた場合、薬剤耐性遺伝子の転移が高率に生じることがわかった。
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