2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670212
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 宏樹 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (80222173)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細菌 / オートファジー / レジオネラ / サルモネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
レジオネラが LC3 をリクルートしないという実験上の困難を克服するため、今年度は HeLa 細胞を用いたサルモネラとレジオネラの共感染系を確立し、蛍光顕微鏡法によるサルモネラへのオートファジー関連タンパク質のリクルートメントの検出をリードアウトとして、オートファジー回避に関わるレジオネラエフェクターの探索を行なった。レジオネラが共存することにより、サルモネラへのLC3リクルートメントのみならず、宿主のオートファジーマシナリーが病原体を認識するシグナルとして働くユビキチンのリクルートメントも阻害されることが分かった。レジオネラ遺伝子を部分的に欠失する複数の株を用いた解析により、特定領域にコードされたエフェクターがサルモネラへのユビキチンリクルートメントを阻害することが分かった。さらにこの領域内の特定のエフェクター欠損株の作製とそれを用いた解析により、この阻害効果は一つのエフェクターに依存することが明らかとなった。
レジオネラ感染系へのフィードバック解析として、マウス由来マクロファージに目的のエフェクター欠損株を感染させる実験を行なった。レジオネラへの LC3 リクルートメントはこの株においても認められなかったことから、レジオネラは多重な機構によりゼノファジーを回避していると考えられた。我々は候補エフェクタータンパク質の発現系の構築および精製を進め、生化学的解析を行なう基盤を構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レジオネラとサルモネラの共感染による実験系はよく機能し、オートファジー関連タンパク質の解析に近年よく使われるサルモネラでの現象をリードアウトとする実験系を樹立することができた。目的としたオートファジー回避に関わるレジオネラエフェクターの候補は、レジオネラ遺伝子を部分的に欠失する株による感染実験およびさらに絞り込んだ欠損株の作製とそれを用いた感染実験により同定に成功した。このエフェクタータンパク質の宿主細胞内発現系、生化学的解析を目的とした発現系の構築も順調に進み、タンパク質精製を完了することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
構築した細胞内発現系を用いた候補エフェクターの解析、および宿主細胞の膜を半透過性になるよう処理して精製したエフェクタータンパク質を添加しサルモネラへのオートファジー関連タンパク質のリクルートメントなどへの影響を解析する。 さらに候補エフェクターが持つと予想される酵素活性部位への変異を導入し、変異タンパク質についても精製を行なう。これらのタンパク質を用いて、 in vitro の系でオートファジー関連タンパク質との相互作用を検証する。 候補エフェクターと相互作用して候補エフェクターの活性を制御する別のレジオネラエフェクターが存在するかどうかを酵母ツーハイブリッド法やレジオネラ細胞抽出液に対するプルダウンなどの方法で検証する。見つかった場合は、2重欠損株を作製し、感染系でオートファゴソーム形成やレジオネラの細胞内増殖などを解析し、レジオネラの持つ多重なオートファジー回避の機構を検証する。可能であれば、候補エフェクターに相互作用する宿主細胞のタンパク質があるかどうかも同様に調べ、見つかった場合には siRNA などでそのタンパク質をノックダウンしオートファジーのレベルを LC3 抗体などを用いて定量的に解析する。
|
Causes of Carryover |
成果発表旅費分を他費用から支出したこと等によるもの。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画自体に大きな変更はなく、次年度以降の物品費・旅費として使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)