2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670228
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福山 英啓 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (70303956)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、4つの異なるアルゴリズムの中から、計算で得られた理論値と生化学的手法で得られた実測値で、最も高い相関のあるアルゴリズムの選定を行った。本年度は、このアルゴリズムを用いて、in scilicoにて、約10の10乗個のペプチドライブラリーから、それぞれのペプチドと、万能抗体C179との結合親和性の理論値の計算を行った。このうち、約6561個のペプチドが、万能抗体との結合する可能性があることがわかった。またこの理論値をベースに、ランキングをつけ、上位104個について、生化学的手法を用いて、小規模な結合実験を行った。このうち、24個が実際に、万能抗体と結合することがわかった。また、昨年度、バックアッププランとして、phage display法の選別により3個のペプチドが見つかっている。in scilicoによる上位8個と、ファージディスプレーにより同定された3個を合わせ、計11個のペプチドをマウスに免疫し、その血清を用いてインフルエンザウイルスに対する中和活性の実験を行った。結果、2種類の異なるインフルエンザウイルス両方に対して中和活性を持つものを3個得ることに成功した。これらの交差中和活性を持つ3つのペプチドと抗体との複合体の構造解析を試みた。最初に、C179万能抗体のscFV及びFabの組み替え抗体を作成した。これらの抗体とペプチドと結合を生化学的手法にて確認したのち、ペプチドー抗体の結晶化を試みたが、結晶は得られなかった。現在、すでに構造が分かっている環状ペプチドをベースに、本研究で確立したアルゴリズムを使って、再検索を行っている。本研究で、理論的には天文学的な組み合わせが可能なアミノ酸配列を持つペプチドとある機能を持つ抗体との結合をある程度予測できるアルゴリズムを同定した。この方法は、インフルエンザだけでなく、様々なワクチン開発のツールとして、今後、期待できる。
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