2014 Fiscal Year Research-status Report
自己応答性T細胞を除去する機構の不完全性による癌免疫監視の強化
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26670234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50327665)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | T細胞 / 胸腺 / 癌免疫 / 自己免疫 / TNFレセプターファミリー |
Outline of Annual Research Achievements |
ほとんどのT細胞は胸腺で分化するが、その際、自己抗原に応答するT細胞の多くが除去される。その除去機構に重要な細胞の一つが胸腺髄質上皮細胞である。これまでに髄質上皮細胞の数を調整するネガティブフィードバック制御機構を明らかにしてきた。 マウス癌モデルを用い、胸腺髄質上皮細胞の分化をネガティブフィードバック制御する機構について癌免疫応答における寄与を検証した。ネガティブフィードバック制御の中心となっているOPG欠損胎仔マウス(および野生型コントロールマウス)の胸腺ストローマをヌードマウス腎皮膜下に移植し、胸腺上皮細胞を含む胸腺ストローマ細胞でのみOPGを欠損するキメラマウスを作成した。ついで、このキメラマウスに対して可移植性のマウス癌細胞株MethAを移入し、癌の増大を測定する実験、および発癌物質の投与による発癌モデル実験を行った。その結果、OPG欠損胸腺ストローマ移植マウスでは、癌の増大が亢進し、発癌モデルで発癌比率の増加が観察できた。また癌が増大した移植マウスの流入リンパ節を解析したところ、OPG欠損胸腺ストローマ移植マウスでは制御性T細胞の割合が減少した。さらに癌に浸潤したT細胞を解析したところ、OPG欠損胸腺ストローマ移植マウスでT細胞の割合が増加した。ついで癌細胞で発現するタンパク質に対する抗体価を免疫染色法とウエスタンブロット法で解析したところ、OPG欠損胸腺ストローマ移植マウスでは抗体価が減少していた。以上の結果から、ネガティブフィードバック制御機構は、癌免疫応答を亢進している可能性が高いと結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
胸腺ストローマ移植や癌移植など移植実験を予想以上に順調に行う事ができたため、当初の計画以上のペースで進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、癌に対する細胞障害活性が上昇しているのか、他の癌細胞に対しても同様な傾向が見られるのか、検討することで、仮説のさらなる検証および強化に挑む。
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Causes of Carryover |
比較的費用が少額で済む研究内容が順調に進んだため、それらを前倒しで行い、費用のかかる実験を本年度は見送った結果、本年度の使用額よりも次年度使用予定額が多くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、細胞障害活性の検討などを行うため、それらに関わる試薬が必要になる。また前年度の成果を、関連する国内外の学術集会で発表するための旅費として利用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Excess NF-κB induces ectopic odontogenesis in embryonic incisor epithelium2015
Author(s)
Blackburn J, Kawasaki K, Porntaveetus T, Kawasaki M, Otsuka-Tanaka Y, Miake Y, Ota MS, Watanabe M, Hishinuma M, Nomoto T, Oommen S, Ghafoor S, Harada F, Nozawa-Inoue K, Maeda T, Peterkova R, Lesot H, Inoue J, Akiyama T, Schmidt-Ullrich R et al
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Journal Title
J. Dent. Res.
Volume: 94
Pages: 121-128
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Limitation of immune tolerance-inducing thymic epithelial cell development by Spi-B-mediated negative feedback regulation2014
Author(s)
Akiyama N., Shinzawa M., Miyauchi M., Yanai H., Tateishi R., Shimo Y., Ohshima D., Matsuo K., Sasaki I., Hoshino K., Wu G., Yagi S. Inoue J., Kaisho T., and Akiyama T
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Journal Title
J. Exp. Med.
Volume: 211
Pages: 2425-2438
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Mitochondria-nucleus shuttling FK506-binding protein 51 interacts with TRAF proteins and facilitates the RIG-I-like receptor-mediated expression of type I IFN2014
Author(s)
Akiyama T* (corresponding author)., Shiraishi T., Qin J., Konno H., Akiyama N., Shinzawa M., Miyauchi M., Takizawa N., Yanai H., Ohashi H., Miyamaoto-Sato E., Yanagawa H., Yong W., Shou W., and Inoue J.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 9
Pages: e95992
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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