2015 Fiscal Year Research-status Report
異文化理解能力を中心とした共感的医療コミュニケーションモデルの構築
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26670249
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横山 彰三 宮崎大学, 医学部, 教授 (60347052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南部 みゆき 宮崎大学, 医学部, 准教授 (90550418)
本部 エミ 宮崎大学, 語学教育センター, 講師 (10755515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医療コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下2点を中心として研究を推進した。①米国における医学教育における文化対応能力(cultural competence)の教育について。②ハーバード大学によるcultural competenceに関する医師・医学生への調査項目について。
①Association of American Medical Colleges (AAMC)では、全米の医学部・医科大学に対してCultural Competenceを高めるための教育を推進している。カリキュラムの作成は各大学にゆだねられている部分が大きいが、学生の能力評価の基準は大きくはAttitude, Knowledge, Skillsの3つにフォーカスされている。また、評価のためにTACCT (Tool for Assesing Cultural Competence Training)を利用することが推奨されている。TACCTには5つの範疇(Domain)があり、それぞれのゴールを達成するための細かな指針となっている。本年度は主として文献による調査を行った。
②ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)のAlexander Green教授らのグループは医療者特に医師が患者に対する医療実施で必要となるcultural competenceに関する調査を行っている。ここでいう文化とは自分と異なる文化の人種や少数民族、性同一性障害 (ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル(両性愛)、トランスジェンダー(性転換)) 集団、障害者などの文化的な多様性と定義される。現在、高雄医科大学(台湾)との間で質問票による調査が行われている。今回の研究にも導入したいと考えているが、質問項目・内容によっては必ずしもそのまま適用できない内容もあり現在日本の実情にあった質問項目に編集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた海外での医療実施に関する信念や価値観に関する調査は、調査対象地域の政情不安ならびに予算的な制約もあり、調査対象を主として米国の医療実施、特にTACCTやNon-Violent Communication(非暴力的コミュニケーション)に重点を置くこととした。また調査の過程に於いて、医療者自身の信念や価値観に加えて心理的健全性にも充分注目する必要性があきらかとなり、医療コーチングや心理療法に関する調査も必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように研究内容を医療者自身の心理的健全性の調査にも広げるため、計画を若干修正し、英国における心理療法の調査を行う。また、ハーバード大学と高雄医科大学(台湾)との共同研究(cultural competenceに関わるアンケート実施)も行い、医師の異文化理解・対応能力教育の必要性をデータとしてまとめたい。
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Causes of Carryover |
海外調査の予定時期がISによるテロ行為による影響と重なり渡航を見合わせた。欧米(英国、米国)における調査を最終年度に移行したため、調査費用(主として旅費)を繰り越すことになったため。最終年度に実施するアンケート調査費用(謝金等)のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外(英国・米国)調査旅費およびアンケート調査費用等に主として使用する。また、TACCT教育に関する資料を購入する。
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