2015 Fiscal Year Research-status Report
神経経済学的適応障害としての2型糖尿病の行動経済学的病態分析
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26670256
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
江本 直也 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50160388)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行動経済学 / socioeconomic status / educational level / 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】我々はこれまでコントロール困難な糖尿病患者に対する効果的な治療介入法を考案するため、行動経済学的手法を用いて分析を行ってきた。これまで網膜症や腎症を有する糖尿病患者ではリスクを数学的に評価して(リテラシー能力)危険回避的な選択をする患者の割合が低いことを報告してきた(Patient Prefer Adherence 9:649-58, 2015, 行動経済学 6:78-80, 201、行動経済学 5:201-203, 2012)。糖尿病合併症の危険因子について学歴や所得などの社会的状況も含めて行動経済学的検討を試みた。 【方法】地域連携基幹病院の糖尿病外来に紹介されて診療中の患者134名(男72名、女62名、平均年齢 57.3±15.1歳、初診から1年以内が64%, 3年以内が86%)に行動経済学的アンケートを行った。【結果】回答率83.6%。網膜症を有する患者群は学歴が低く、世帯所得が低い。一方、学歴が高く、所得が高い患者ほど睡眠時間が短く、多忙で時間に追われてはいるが、網膜症の確率は低いことが示された。また、危険回避傾向の評価法として報告されている「子どもの頃の夏休みの宿題」については、休みのはじめにやったと答えた場合は網膜症の確率が低くなった。【考案】行動経済学的分析により患者のおかれている社会的状況と行動傾向は糖尿病患者の合併症の進行に重要な影響を与えていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外来診療中、糖尿病患者のうち、この4年間で新しく診療開始した140名について行動経済学的アンケート調査を行い、解析を終了した。 さらに、この4年以上前から通院している糖尿病患者360名について、さらにアンケートを配布し、おおむね回収が終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
最初の140名の糖尿病患者の解析に加えて配布した360名を加えて、合計400名について、その行動傾向、生活状態、学歴、就業状態などの行動経済学的分析とsocioeconomic statusを加えた分析を行い、糖尿病合併症の状態との相関を調べ、コントロール困難な糖尿病患者に対する行動経済学的観点に基づく、生活治療介入方法を考案する。
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Causes of Carryover |
糖尿病患者のアンケート調査の対象となる患者は、診療中のすべての患者の中から、認知症、介助を必要とする高齢者、障害者等を除くと500名程度と見積もっていたが、実際には拒否する患者や医療連携等による転院などにより、400名にとどまった。そのため、アンケートの謝礼の図書券500円100枚分と郵送費用等が使われない形となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しく回収したアンケートの解析を行い、必要に応じて、さらに詳細な質問票を考案して、検討を行う。さらなるアンケートの謝礼図書券が20万円。 さらに学会発表のポスター作製、論文の英文添削、open access journalの投稿料掲載料など合計で35万円の予定。
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Research Products
(3 results)