2015 Fiscal Year Research-status Report
実験動物の顔表情・姿勢による悪心解析用システムの構築
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26670268
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 浩一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362694)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪心 / 表情 / 麻酔薬 / ラット / マウス / セロトニン5-HT3受容体 / ドーパミンD2受容体 / パイカ行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
上腹部の不快感で定義される悪心は一般的に実験動物で評価することは不可能である。つまり新規開発薬の薬効評価で、副作用たる悪心は非臨床安全試験では検出できず、臨床試験でなければ確認できない症状であった。申請者は平成26年度の研究においてラットの表情変化をモニターすることで悪心を評価できることを見いだした。 ところで、平成26年度の研究には抗悪性腫瘍薬のシスプラチンを使用した。シスプラチンは初期検討としては最も有用な催悪心刺激である。しかし、悪心の原因は消化器疾患のみならず、薬物中毒、妊娠中毒症、乗物酔い、全身麻酔薬など多岐にわたる。そこで、平成27年度は全身麻酔薬による催悪心作用の至適条件を検討するため、ラットのパイカ行動を指標とした実験を行った。パイカ行動とは齧歯類動物が悪心を感じるとカオリンなど通常の餌としては異常なものに対して食欲を示す行動である。ラットに吸入麻酔薬セボフルラン(1.5% 6時間)を吸入させ、その24時間後のパイカ行動によるカオリン摂取量を測定した。また、5-HT3受容体、D2受容体、NK1受容体、H1受容体の各遮断薬、副腎皮質ステロイドを前処置することで、麻酔薬によるパイカ行動が抑制されるか検討した。その結果、セボフルランによってラットはパイカ行動を惹起し、このパイカ行動は5-HT3受容体ならびにD2受容体遮断薬で顕著な抑制が見られた。以上の結果から、ラットのパイカ行動によって麻酔薬による悪心が評価する方法が確立できた。現在、この病態モデルを用いて術後悪心嘔吐の評価として表情モニターによる方法が応用可能か否か検討している。 また、遺伝子改変動物の入手が容易であるマウスで開眼・閉眼頻度をモニターできるシステムが構築できればさらに有用性が増すと考えるため、マウスでの実験計画率に向けた条件設定を併せて実施し、良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた抗悪性腫瘍薬以外の悪心を惹起させる刺激で検討するため、全身麻酔薬による実験条件を検討した。その結果、セボフルランやプロポフォールと言った臨床で全身麻酔薬として使用されている薬剤による悪心評価がおおむね構築できた。 またマウスでの検討を行うための実験条件を確認できた。 以上のことから、本研究課題の研究目的と照らし合わせると、平成27年度に行った研究は順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスでの悪心実験条件が確立できたことから、マウスによる顔表情・姿勢データの取得、クラス分け・悪心スコア化システム構築を進めていく。ラットより眼球が小さいため、認識が困難であるかもしれないが、これまでのラットで得られたノウハウがあれば、短期間でシステム構築が可能と考えられる。このシステムが可能となれば、悪心発症に関連する受容体欠損マウスを用いた実験を試みる。さらに、嘔吐の研究に頻繁に用いられているスンクス(ジャコウネズミ)を用いることで、悪心と嘔吐を1匹の動物で解析するためのシステム構築を試みることも検討している。
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Causes of Carryover |
本実験で得られた結果を特許を取得することを試みたため、平成27年4月~7月はその手続き等に時間が割かれてしまった。また平成27年7月~10月は家庭の事情により当初計画していたエフォート率を本研究課題に費やすことができなかった。その結果として実験遂行が当初計画より若干遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスならびにスンクス(ジャコウネズミ)による顔表情・姿勢データの取得、クラス分け・悪心スコア化システム構築を進めていくことに全力をあげる。また得られた結果を国際学会にて発表を行うとともに、関連雑誌への投稿を行う。このため、実験消耗品費用ならびに旅費、投稿料として計画的に使用する。
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