2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670290
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
柏谷 英樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70328376)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | odor / analgesia / orexin |
Outline of Annual Research Achievements |
香気誘発性鎮痛の「嗅覚入力」依存性の確認に関して、嗅覚失調マウスを用いて研究を行った。当初計画ではCNG2欠損マウス(先天性嗅覚失調マウス)を用いる予定であったが研究費の充足率が不十分であったため、3-methyl indole(3-MI)による薬理学的嗅上皮破壊マウスによる実験へ変更した。嗅上皮破壊マウスで香気誘発性鎮痛をアッセイした所、鎮痛効果は完全に消失していた。嗅球破壊マウスにおける香気誘発性鎮痛の消失とあわせると、odorant-X暴露による鎮痛効果は、確かに嗅覚入力に依存していることが明らかになった。 次に、香気誘発性鎮痛の持続時間を調べるため、香気の短時間暴露(5分間)による鎮痛効果を検証した。ホルマリンテスト直前の5分間のodorant-X暴露を行うと、ホルマリン性疼痛行動の第一相は有意に減弱したが、第二相では有意な変化は観察されなかった。次にホルマリンテスト第二相発現直前の5分間odorant-X香気に暴露した所、その直後の10分間のみ著明な疼痛行動の減弱が観察された。これらの結果から①odorant-Xの短時間(5分間)暴露でも有意な鎮痛効果が得られること②odorant-X短時間暴露ではおよそ10分間鎮痛効果が持続すること③ホルマリン性疼痛の第一相、第二相の両相に対して著明な鎮痛効果があることが明らかになった。
これらの結果の一部は第9回欧州神経科学学会、第37回日本神経科学学会、第92回日本生理学会で発表した。また、現在論文投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたCNG2欠損マウスを用いた実験が不可能となったが、代替手段として嗅上皮破壊マウスによる嗅覚入力依存性の検証を行えた。また香気誘発性鎮痛の持続時間に関しても、短時間暴露実験により持続時間に関する重要な知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在のセットアップを用いて、香気誘発性鎮痛の濃度依存性について検証する。また香気誘発性鎮痛の脳内基盤について、c-Fos発現を指標に検証を開始しており、下行性抑制系回路に含まれるいくつかの神経核及び嗅皮質、連合皮質でodorant-X刺激により特異的な活性化が見られている。今後これらの領域の微小機能破壊実験を行い、香気誘発性鎮痛の責任領域を明らかにしている予定である。
|