2015 Fiscal Year Annual Research Report
放射線健康情報はどのように時間的・空間的に広がるのか?
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26670293
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 克彦 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90322859)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Twitter / 福島第一原発 / 放射線関連用語 / 時系列変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震によって発生した福島第一原発事故に伴い、市民の放射線に対する関心は高まった。本研究室では昨年より放射線情報の伝搬に関する研究に取り組み、メディアの報道に含まれる放射線関連語の印象と、市民が持つ印象が異なっていることを昨年の本科研費による研究において明らかにした。今年度、昨年の研究を発展させ、市民の恐怖を中心とした関心の変遷を明らかにするために、SNSの一つであるTwitterを用いて市民の関心を可視化した。 方法は、2011年3月11日~17日に発信された「放射線」・「放射能」・「放射性物質」のいずれかの語句を含む約150万件のTwitterデータから日毎に、プログラミング言語awkを用いて「恐い」・「心配」など恐怖を示唆する様々な表現を含むものを抽出した後に形態素解析した。関連の強さを表す共起度を用いて共起ネットワークを作成することで、市民の関心を可視化した。更に各日の共起ネットワークを比較し、時系列的変化を検討した。 共起度を可視化した結果より、市民の関心が高いものは11・12日は「原発」、12・13日は「健康」、13・14日は「メディア」、15日は「経済」、16・17日は「被災地の物資不足」と変化していることが明らかになった。また、各日の共起ネットワークにはトレンドの話題や、市民のメディアや政府に対する意見などの世論が抽出された。本手法により、市民の放射線に対する関心の把握が可能となるものと考えられる。
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