2016 Fiscal Year Research-status Report
線量分布の近似度を基準とする新しい患者位置合わせの法の研究
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26670295
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土橋 卓 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70399806)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 位置合わせ |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療では、治療前に撮影したCT を元に線量分布を計算し、治療に最適な照射方向や照射野形状を決める。計画通りの線量分布を実現するには、患者を適切に治療寝台上にセットアップする必要がある。そのため、治療寝台上の患者をX 線撮像装置で撮影し、その画像が計画時CT と可能な限り一致するように患者の位置合わせを行う。この従来の方法は、画像の一致度が線量分布の一致度を反映することを前提としている。しかし、対象が人体のように剛体でない場合、画像の一致度が線量分布の一致度と同じである保障はない。本研究は、位置合わせ時に高速に線量計算を行い、画像の一致度ではなく線量分布そのものの一致度に基づいて位置合わせを行うことで、位置合わせ誤差を低減する新しい手法を提案する。そのための基礎的検討が本研究の目的である。 平成27年度までに、治療中に取得したコーンビームCT画像に基づいて治療期間中の臓器の位置変動を把握し、その臓器変動による線量分布への影響を解析した。患者1例に対し治療中に10回取得したコーンビームCTに基づいて、ビーム方向を計画時に設定した方向から微調整することで、治療中の臓器変動による線量分布への影響が低減されることを明らかにした。 平成28年度は、上記の成果を第111回日本医学物理学会および第30回高精度放射線外部照射部会学術大会において発表した。また、解析対象患者を増やすとともに、それまでに進めてきたコーンビーム画像上で線量計算を行うための線量計算プログラムを、精度および計算速度の面でさらに発展させることを目的とした。前立腺がん患者10名、計約100回のコーンビームCTに基づき、解析した全ての患者において治療各回でビームパラメータを変動させることで線量分布が改善することを明らかにした。その成果を第113回日本医学物理学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度は、線量計算プログラムの高精度化および高速化に時間を要し、予定よりも進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、ワークステーションを用いた並列計算を行うことで、開発した線量計算プログラムを高速化し、開発したインハウス線量計算プログラムに基づき、各治療回で最適なビームパラメータを最適化するアルゴリズムの開発を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度ではプログラム可能な商用治療計画装置の導入を検討したが、国内代理店の取り扱い終了等の事情で計画を変更する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は線量計算分布評価の高速化を行うために、並列化計算を目指して、複数のワークステーションおよびソフトウェアを購入する。
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