2014 Fiscal Year Research-status Report
高感度フラットパネル検出器を実現する新しいX線直接変換膜の開発
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26670296
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
人見 啓太朗 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60382660)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 臭化タリウム / フラットパネル検出器 / X線 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の医用画像分野におけるディジタル化・IT化の流れの中で、X線のディジタル画像が直接得られるフラットパネル検出器が注目を集めている。化合物半導体である臭化タリウム(TlBr)は高原子番号、高密度を持ち、ガンマ線検出器材料として実績があるため高感度X線センサー材料として有望である。本研究ではTlBrに着目し、高感度フラットパネル検出器を実現するX線直接変換材料の開発を行うことを目的としている。 今年度は水平帯域精製法によるTlBr素材の純化、ITOガラス基板上へのTlBr薄膜の成膜、単結晶TlBrセンサーの製作を行った。 X線検出器材料としての半導体材料には良好な電気的特性を得るために、高い純度が求められる。本研究では水平帯域精製法により純度99.999%のTlBr素材の純化を行い、薄膜および単結晶の材料とした。 純化を行ったTlBr材料を用いて、抵抗加熱による真空蒸着法にてITOガラス基板の上にTlBr薄膜の成膜を行ったところ、ITOガラス基板上にTlBr薄膜を成膜することに成功した。 純化したTlBr材料を帯溶融法により育成し単結晶を得た。TlBr結晶をワイヤーソーにより切り出し、ウエハを得た。TlBrウエハ上に真空蒸着法により微小ピクセル電極の製作を行ったところ、サイズが150マイクロメートルおよび400マイクロメートルのピクセル電極を形成することに成功した。 以上の様に今年度はTlBrを用いたX線センサー製作の基礎技術の確立を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究により、ITOガラス基板上にTlBr薄膜を成膜する技術を確立し、TlBr結晶上に微小ピクセル電極を形成する技術を確立することができたため、本研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度確立したセンサー製作技術を用いてセンサー製作を行い、その応答特性の評価を行う。ITOガラス基板上にTlBr薄膜を成膜し、さらにその上に信号取り出し電極を蒸着することによりX線センサーとし、密封線源を用いて放射線応答特性の評価を行う。また、単結晶TlBrセンサーを製作し、密封線源を用いて放射線応答特性の評価を行う。
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