2014 Fiscal Year Annual Research Report
Fas/FasLと放射線ないしはGVHによる細胞傷害によって引き起こされる皮膚炎
Project/Area Number |
26670300
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 治彦 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90283431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | regulatory T cells / CD8+ / Fas/FasL |
Outline of Annual Research Achievements |
1.皮膚以外の変化 私が提唱するFas欠損もしくはFasL欠損マウスへの放射線照射+骨髄移植による皮膚炎発症モデルは、GVH(移植片対宿主)反応によるものであることを皮膚組織の病理学的検査により確定した。そこで、GVH反応ならば皮膚以外の組織にも変化が見られるはずと考え、同様のGVH誘発操作をしたマウスの肝臓、腎臓、肺、等を精査した。その結果、皮膚炎を発症したマウスでは肝臓の中心静脈周囲領域に活性化したリンパ球を主体とした細胞浸潤が見られ、肺胞上皮下の皮下組織にも活性化リンパ球様の細胞浸潤が見られるなど、GVHは全身性に起こっており皮膚症状はその一部であることがわかった。 2.皮膚炎の発症に関わる細胞 lprもしくはgldと野生型(WT)との間で種々の組み合わせ(lpr>lpr、WT>lpr、lpr>WT、gld>gld、WT>g、gld>WT)で骨髄移植を行い、宿主のみ、あるいは移植片のみがFas/FasLに変異の入った場合に皮膚炎その他の免疫異常を検討した。結果をまとめると、(1)皮膚炎その他の自己免疫症状が出るには、移植片中に制御されないT細胞が存在する必要がある。(2)宿主がWTであった場合には、宿主がlprやgldであった時よりも発症率は下がる(lpr>lpr やgld>gldは70%ほど、lpr/gld>WTでは30%ほど)もののFas/FasLの異常でGVHが発症する。しかし、移植片がWTでは全く発症しない。 3.RAG-2KOマウスを用いたGVHモデル 宿主をRAG-2KOマウスとし、骨髄細胞をgldマウスの骨髄とWT(5.1)マウスのミックスとして骨髄移植を行い、その後の病態変化を調べた。結果、RAG-2KOマウスの骨髄とgldマウス骨髄をミックスするとGVH様異常は発現せず、このGVH様異常の発現を抑える細胞がT細胞B細胞以外にもある可能性が示唆された。
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