2016 Fiscal Year Annual Research Report
Basic study on nanotip electron emitter for micro X-ray tube
Project/Area Number |
26670302
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Research Institution | Kyoto College of Medical Science |
Principal Investigator |
林 茂樹 京都医療科学大学, 医療科学部, 教授 (90395228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電界放射電子源 / タングステン / 窒化ホウ素化アルミニウム / 窒化ケイ素 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は窒化物(窒化ホウ素化アルミニウム;AlBN、窒化ケイ素;Si3N4)の薄膜をタングステン針の先端に成膜した試料を用いて超高真空下で高電圧を印加すると、窒化物の薄膜をタングステン針が貫通して電界放射が起こることを確認できた。また、同様に電界放射特性の向上をも確認することができた。BN薄膜の場合と同様に、Si3N4を製膜したタングステンから先鋭化した先端からの原子像と思われる電界放射顕微鏡(FEM)像が得られた。一方、AlBN製膜したタングステンからは先鋭化は確認できたが明瞭な原子像は見られなかった。AlBN の結晶構造が立方晶系であるのに対して、Si3N4は三方晶系または六方晶系の積層構造で各層が弱いファンデルワールス力で結合されていることによる違いから生じていると思われる。 この尖鋭化された試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果、BN薄膜の場合とは異なり、Si3N4薄膜とタングステンが明瞭に分離して観察されなかったが、先端の電子線回折(EBD)パターンから先鋭部が単結晶化していることが確認できた。更に、BN薄膜を製膜した場合と同様に、Si3N4を製膜タングステン針の先端部はタングステン原子構造図 (体心立方晶系、格子定数:3.16Å)の<110>面であることが分かった。Si3N4の結晶構造はα-Si3N4とβ-Si3N4がある。低温相のα-Si3N4が三方晶系で,高温相のβ-Si3N4が六方晶系である。また、α-Si3N4は、1,300℃以上の高温になるとβ-Si3N4に転移することが知られている。タングステン針先端が先鋭化する際に電界放射により局所的に大電流が流れ抵抗加熱によってタングステン先端が高温になり、α-Si3N4がβ-Si3N4に変化してBN薄膜の場合と同様に六方晶系となり単結晶化が進んだのであろうと予想される。
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