2014 Fiscal Year Research-status Report
高圧過飽和溶液を利用した革新的な超音波診断造影剤の開発
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26670303
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バブル / 超音波 / 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は高圧過飽和溶液を利用した革新的な超音波診断造影剤の開発することである。従来と異なった新しい過飽和溶液の微小気泡化作成法を確立しその評価解析することが主な目的である。その為に1)安定した高圧気体過飽和溶液を作成する(急速加圧した後に超低速減圧する手法)。2)この溶液を生体内に投与したあとに外部から機械刺激し、局所で微小気泡化する。3)前記溶液の超音波画像造影効果と超音波治療効果を評価・解析する。初年度ではin vitro実験を実施した。 癌細胞株(リンパ腫)における過飽和溶液と超音波併用による殺細胞効果について判定した。また、そのメカニズムの解明(ApopNexinTMFITC Apoptosis Detection Kit(CHEMICAL INTERNATIONAL)を用いてアポトーシスの評価などを行った。それに加え 最適な超音波条件(周波数、強度、Duty比、Burst rate、照射時間など)を検討した。過飽和溶液と超音波照射併用療法後に、生き残った細胞を顕微鏡下に観察し、過飽和溶液の影響を確認する試みを行った。以上の実験の結果、前記の1)と2)で当初予想された実験結果がほぼ得られた。しかし、まだ多くの未解決の問題があるとともに、今後、さらに追求していく必要の項目が出てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画したいた、安定した高圧気体過飽和溶液を作成するは急速加圧した後に超低速減圧する手法で十分にバブルを作成することができた。顕微鏡にて気泡の分布を確認できたとともにその大きさは5マイクロ以下であった。次に、この溶液を生体内に投与したあとに外部から機械刺激し、局所で微小気泡化するかの評価を試みた。機械的な刺激によって気泡に影響がでていることが細胞の生存率の観察することで確認できたものの、再現性に乏しく、でき上がった微小気泡がきわめて不安定であることが示唆された。この問題は当初から予想されたことであった。また、当初予定していた高圧気体過飽和溶液を作成する装置の性能が実験を進める過程で不足していることが判明した。その為、オーラテック社の微小気泡発生装置を新たに購入した。この装置では微小気泡は十分に作成することができ、実験を再開することができた。本年度の実験はほぼ順調に進展したと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は再度の基礎実験を行い、より安定な気泡の作り方の条件を見つける必要がある。最適な超音波条件(周波数、強度、Duty比、Burst rate、照射時間)を再検討する予定である。前記と同様に過飽和溶液と超音波照射併用療法後に、生き残った細胞を電子顕微鏡下に観察し、過飽和溶液の影響を確認する。この検討には顕微鏡の画像の解析が必須であり、解析ソフトウエアの設定をより細かくプログラムしなおす計画である。一方、顕微鏡下にて観察できるフロー・チャンバーモデルの改良も必要である。超過飽和溶液を適正な流速と圧力で超音波刺激または機械的刺激を与えて、微小気泡化の程度と細胞への影響を観察する。チャンバーは清潔なため急性期または慢性期の細胞への影響を十分に解析できると思われる。今後は1)ヌードマウスに過飽和溶液を投与し、超音波下に腫瘍が造影されるか観察する。2)過飽和溶液と超音波照射併用し、抗腫瘍効果(腫瘍の大きさを測定)を判定する。3)治療後に腫瘍組織の他、肝臓、脾臓、腎臓などの臓器を取り出し、電子顕微鏡下に観察し、過飽和溶液の影響を観察する計画である。
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Causes of Carryover |
本研究を開始した直後に微小気泡装置の性能が不足していることが判明した。その為に微小気泡が十分に作成されなかった。この問題は新しい発生装置を購入することで解決したが、装置の切り替えの期間があったために、細胞実験が進まなかった。当初の計画よりも遅れが生じ、細胞培養関連の消耗品の購入が少なかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在の計画では、昨年の実験の再検討と微小気泡の安定的な作成を積極的に実験する。超過飽和溶液を適正な流速と圧力で超音波刺激または機械的刺激を与えて、微小気泡化の程度と細胞への影響を観察する。チャンバーは清潔なため急性期または慢性期の細胞への影響を解析する予定である。過飽和溶液投与後の超音波照射の回数と抗腫瘍効果とが相関するか検討や正常組織での超音波造影効果の検討(心臓、肝臓、など)と腫瘍内の造影効果(輝度測定)の検証など費用がかかる実験に予算を回す予定である。
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Research Products
(7 results)